女性の体型の悩みの一つであるのが、胸の大きさです。「ずっと豊胸手術をしたいと思っていたけれど、その後の健康診断や人間ドックは問題なく受けられるの?」「 がん検診に影響はないの?」と不安で踏み出せない人もいるのではないでしょうか。この記事では、豊胸手術後にどんな検査が受けられるのかについて、詳しく解説します。胸の大きさや形が気になっている人、豊胸手術を受けたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
レントゲン(胸部X線)検査とは
採血と並んで身近な検査であるのがレントゲン検査です。しかし、「どのような仕組みで、なぜ受ける必要があるのか」を知らない人も多いのではないでしょうか。ここでは、胸のレントゲン検査について、見つけられる病気も含めて解説します。
- レントゲン(胸部X線)の仕組みについて教えてください。
- レントゲン検査とは、X線という高いエネルギーの電磁波を使用して、身体の内部組織や骨格を可視化する医療検査の一種です。被写体に照射されたX線は、組織や材料によって異なる程度で吸収または透過されます。例えば、骨はX線をよく吸収するためレントゲン画像では白く映りますが、筋肉や内臓などの軟部組織はX線をよく透過するため、暗く映ります。
- なぜレントゲン(胸部X線)検査を受ける必要があるのですか?
- 胸部X線検査は、さまざまな病気や身体の状態を診断するために重要な手段で、検査結果をもとに次の治療に役立てます。定期健康診断の中では、年1回の検査が推奨されています。特に胸部レントゲン検査では、結核や肺炎、気胸、胸水、肺がんなどの呼吸器疾患、大動脈瘤などの大血管系疾患、心肥大などの心疾患を見つけるのに重要な検査です。
豊胸手術後のレントゲン(胸部X線)について
豊胸手術をしたけれど、レントゲン検査を受けられるのか不安な人もいるのではないでしょうか。ここでは、レントゲン検査の可否と検査での乳房の写り方について解説します。
- 豊胸手術後にレントゲン(胸部X線)は受けられますか?
- 検査を受けることはできますが、検査結果に影響が出る可能性があるため、豊胸手術をしたことを前もって医師に申告する必要があります。
- 脂肪注入による豊胸はレントゲンにどのように写りますか?
- 脂肪注入による豊胸は、胸部X線画像ではほとんど確認できません。ですが、生着せず吸収されなかった脂肪が壊死、炎症を起こしている場合はレントゲンに写ることがあります。カルシウム成分などが凝固して石灰化やしこりが生じ、X線を通過しにくくなり、レントゲンに写りやすくなるのです。
- ヒアルロン酸注入による豊胸はレントゲンにどのように写りますか?
- ヒアルロン酸は、基本的にレントゲンには写りません。しかし、ヒアルロン酸量が多かった場合、影のような異物がレントゲンに写ってしまうことがあります。また、ヒアルロン酸が体の1箇所にまとまって残留しているケースでは、石灰化が起こることもあります。腫瘍がある場合、この石灰化が誤診に繋がってしまう可能性もあるのです。
- シリコンバッグによる豊胸はレントゲンにどのように写りますか?
- シリコンバッグによる豊胸は、シリコンバッグの縁や全体がX線に写し出されます。もともと人間の体に含まれない成分であるシリコンバッグが一塊となってバストに挿入されているため、画像での所見がわかりやすい特徴があります。
豊胸手術後のマンモグラフィ検査について
マンモグラフィは乳がんの検診項目になっている検査です。早期発見に繋がるため、定期的に受けたいと考えている人もいるのではないでしょうか。ここではマンモグラフィの検査方法、豊胸手術が検査に与える影響についてご紹介します。
- マンモグラフィとはどのような検査方法ですか?
- マンモグラフィは、乳房のX線撮影法の一種であり、乳がんの早期発見や診断に使用される検査です。乳房を平坦化するために2枚の透明な板で挟み込み、圧迫し乳房組織を均一化して撮影します。乳房を引き出し、薄く伸ばして圧迫するため、生理前などは痛みを伴うことが多いです。乳房の圧迫は片側数十秒ずつで、基本的には我慢できる程度の痛みです。通常、各乳房について上下、左右で撮影し、複数の角度からの画像で乳房組織全体を適切に評価します。石灰化病変を発見しやすく、触診や超音波エコー検査で発見できなかった乳がんを発見できる可能性があります。乳腺や脂肪の中にある腫瘍がはっきりと写るため、乳がんの早期発見には欠かすことのできない検査です。
- 脂肪注入による豊胸はマンモグラフィ検査で影響はありますか?
- 脂肪注入の場合、マンモグラフィ検査を受けることに問題はありません。しかし、石灰化やしこりがあると乳がんとの区別がつかない可能性はあります。検査に問題がないとはいえ、マンモグラフィ検査を受ける前には、脂肪注入による豊胸を事前に伝えることが必要です。
- ヒアルロン酸注入による豊胸はマンモグラフィ検査で影響はありますか?
- ヒアルロン酸注入による検査への影響は、ほとんどありません。しかし、脂肪注入と同様にしこりや石灰化が進むと診断に支障が出てしまい、誤診に繋がる可能性があります。 担当医師へ事前に豊胸を申告することも、忘れないようにしましょう。
- シリコンバッグによる豊胸はマンモグラフィ検査で影響はありますか?
- マンモグラフィ検査は乳房全体を強い力で挟むため、圧力によってシリコンバッグが破損してしまう危険性があります。検査を担当する医師や自治体の考え方によっても異なりますが、シリコンバッグによる豊胸をした場合は、シリコンバッグを痛めないように別の方法で検診を受けることが推奨されています。
豊胸手術後の乳がん検診について
前項では、豊胸手術後はマンモグラフィの検査が推奨されていないことを解説しました。では、どのような検査で乳がん検診を受ければよいのでしょうか。注意点も含めて解説します。
- 豊胸手術後に乳がん検診を受けることはできますか?
- 乳がん検診を受けることはできますが、マンモグラフィでの検査は基本的に推奨されていないため、エコーや乳房MRIで代用するのが一般的です。 エコー検査とは、超音波を当てた際の反射波で乳房の異常を調べる方法で、痛みがなく、挿入したシリコンバッグが破損する心配もありません。また、検査の際に放射線を使用しないため、妊娠中も安心して受けられます。エコー検査では腫瘍の有無、大きさ、その腫瘍が良性か悪性かを見分けることができます。しかし、小さな石灰化病変は見逃してしまう可能性もあるため、一定期間ごとにほかの検査方法と併用して受けることがおすすめです。 また、乳房のMRIでは一度に乳房全体の検査ができます。うつぶせの状態で、付属の機器にある2箇所の穴に乳房を入れて行う検査です。被曝の心配や痛み、圧迫がなく受けられるため身体への負担はありませんが、検査料金がエコーと比較して高価になります。
- 豊胸手術後に乳がん検診を受ける際の注意点について教えてください。
- 自治体で行っている乳がん検診は、豊胸について専門的な知識のある医師が検診を行うわけではないため、一般的に豊胸手術をしていると受けられません。豊胸手術をしたことを伝えずに検査を受けることは、トラブルの原因となるため避けましょう。 乳がん検診は、豊胸手術をしたクリニック内で検診を行っている場合もあります。また、提携している医療機関を紹介してくれることもありますので、まず手術を受けた医療機関に相談するのがおすすめです。手術の種類や施術箇所がわからないと検査できないケースもあるため、豊胸手術をしていることを必ず事前に申告しましょう。
編集部まとめ
レントゲン検査は、呼吸器や大血管系疾患、心疾患を発見するのにとても重要な検査です。また、女性は乳がんの発症率が40歳を過ぎると急激に増加するため、40歳以降は2年に1回の乳がん検診が推奨されています。豊胸手術後も専門の医療機関でレントゲンやエコー検査、乳房MRI検査は受けられるため、医師に事前に申告して定期的な検査を受けることが大切です。
参考文献