出産は女性にとって大きな喜びですが、同時に女性器に負担をかけることにもなります。出産によってデリケートゾーンの状態が変わってしまったことに悩んでいるのではないでしょうか?
小陰唇の大きさや形、膣の緩みや尿漏れ、性交痛など、出産後に起こる女性器のトラブルは、日常生活や性生活に影響を与えることもあります。
本記事では、産後の婦人科形成について以下の点を中心にご紹介します!
- 膣縮小手術とインティマレーザーについて
- 小陰唇縮小術について
- 会陰部贅皮切除術について
産後の婦人科形成について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください
産後に起こりやすい陰部の悩み
産後、膣や会陰においてどのような変化を実感する女性が多いのでしょうか。
膣の緩み
産後に起こりやすい陰部の悩みの一つに、膣の緩みがあります。出産は女性の体に大きな変化をもたらし、膣周辺の筋肉には大きな負担がかかります。妊娠中、体は出産に備えて膣を含む骨盤底筋が柔らかく、伸びやすくなるように変化します。そして、出産時には赤ちゃんが膣壁を押し広げて通過するため、膣内の筋肉が大きく伸ばされ、場合によっては裂けることもあります。
産後、膣内の筋肉は時間をかけてある程度元の状態に戻りますが、多くの場合、妊娠前の状態に戻ることはありません。この結果、膣の緩みが生じ、尿漏れや性交時の感度低下など、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。また、膣の緩みは見た目にも影響を及ぼし、自信の喪失やパートナーとの関係に悪影響を与えることもあります。
膣の緩みに対処する方法としては、骨盤底筋を鍛えるエクササイズが挙げられますが、これだけでは十分な効果が得られない場合もあります。そのような場合には、医療的な介入が有効な選択肢となり得ます。これらの治療は、膣の筋肉を引き締め、形態的にも機能的にも改善を目指します。施術については後述で詳しく解説します。
会陰の変化
産後に起こりやすい陰部の悩みの一つに、会陰の変化があります。会陰とは、膣の入り口から肛門までの間の部分を指し、出産時に特に大きな影響を受けるエリアです。出産時には、赤ちゃんが通過するために会陰部が大きく伸びたり、場合によっては裂けたりすることがあります。裂傷を避けるために会陰切開を行うこともありますが、切開を行わなくても、多くの場合で会陰が自然に裂けてしまうことがあります。
会陰切開や自然な裂傷があった場合、出産後にはこれらの傷が縫合されますが、元の状態に戻るわけではありません。産後には会陰の形が変わってしまったり、裂傷の跡が残ったりすることがあり、これが産後の女性が抱える悩みの一つとなります。また、会陰部のたるみや色素沈着、しわが増えることもあります。
これらの変化は、見た目の問題だけでなく、性交時の不快感や自信の喪失につながることもあります。会陰部の変化に対処する方法として、会陰部贅皮切除術などの婦人科形成手術があります。これらの手術は、会陰の形を整えたり、余分な皮膚を取り除いたりすることで、デリケートゾーンのコンプレックスを解消し、女性が自信を持って生活できるように支援します。後述で詳しく解説します。
会陰部の変化は、多くの産後の女性が経験する自然な現象ですが、それによって生じる悩みは個人差があります。自分一人で抱え込むのではなく、婦人科で相談することで、適切なアドバイスや治療を受けられます。
膣の施術①膣縮小手術
まずは腟の施術からご紹介します。膣縮小手術とはどのような手術なのでしょうか。
膣縮小手術とは
膣縮小手術は、出産や加齢によって生じた膣の緩みを改善するための施術です。なかでも、出産後に多くの女性が経験する膣の緩みは、性交渉時の感度低下やパートナーとの関係に影響を及ぼすことがあり、また尿漏れや膣内への水の侵入が容易になるなど、日常生活においてもさまざまな不便を感じる原因となります。膣縮小手術は、このような膣の機能的、形態的な問題を解決するために行われます。
手術のプロセスは、膣の入り口の緩みを引き締めることから始まります。これは、膣の肛門側の壁を引き締めることによって行われ、同時にヒダを形成していきます。この手術により、膣の入り口が狭まり、外見上の悩みや衛生面での問題が改善されます。また、膣壁の引き締めによって、膣内のヒダが形成され、性交時の感度が向上することが期待されます。
手術は、カウンセリングを通じて患者さんの希望に近づけるように施術が行われます。手術時間は30〜60分程度で、局所麻酔を使用します。手術後の傷跡は時間が経つにつれて目立たなくなります。また、手術後は圧迫を行い、止血の確認後に帰宅できます。ダウンタイムは短く、腫れや赤みは1〜2週間で治まります。
この手術は、出産や加齢による膣の緩みが気になる女性、性交渉を楽しめていない女性、パートナーが満足しているか気になる女性におすすめされます。また、尿漏れが気になる女性や感度をアップさせたい女性にもおすすめの選択肢となります。
術後について
手術後のダウンタイムとケアには以下のポイントに留意しましょう。
- ダウンタイム: 膣縮小手術のダウンタイムは、手術の範囲や個人の回復速度によって異なりますが、一般的には手術後数日から数週間です。手術直後は腫れや不快感を感じることがありますが、これらの症状は通常、数日間で徐々に軽減します。
- シャワーと入浴: 手術後は、通常、シャワーがすぐに許可されますが、患部を直接こすらないように注意が必要です。一方で、バスタブでの入浴は、しばらくの間は避けることが推奨されます。
- 性交渉: 手術後の性交渉は、膣の回復を待ってから再開することが重要です。医師は通常、手術後4週間から6週間後に性交渉を再開することを勧めますが、これは個人の回復状況によって異なる場合があります。
- 活動制限: 手術後、最初の1週間は過度な運動や重い物の持ち上げ動作などを避けるようにしましょう。日常生活に戻るペースは、個人の回復に応じて医師がアドバイスします。
- フォローアップ: 手術後のフォローアップのための受診は、回復の状態を診察し、患部の状態を評価するために重要です。これにより、必要に応じて追加のケアや指示を受けられます。
これらのケアのポイントは、個人の状況によっても異なりますので、医師の指示を守り、術後の回復を促しましょう。
膣の施術②インティマレーザー
膣の施術で用いられる方法として、インティマレーザーがあります。以下に詳しく解説します。
インティマレーザーとは
インティマレーザーは、膣の緩みや機能的な問題を解決するための非侵襲的な美容婦人科治療です。この治療は、出産や加齢によって膣の弾力が失われたり、膣壁が緩んだりした女性に推奨されます。
インティマレーザー治療では、エルビウムヤグレーザーを使用して膣粘膜に照射し、粘膜組織を適度に加熱します。この熱により、膣粘膜および筋膜のコラーゲンの再生、新生、増生が促進され、膣壁の収縮と弾力性の向上が期待できます。治療の大きなメリットは、切開や縫合、麻酔が不要な点です。
術後について
術後のダウンタイムは短く、治療後すぐに日常生活に戻れるといわれています。治療後は一時的に膣内に腫れが生じることがありますが、性行為は治療後3日目から行え、そのほかの日常生活における制限はほとんどありません。
会陰の施術①小陰唇縮小術
この施術は、会陰の悩みを解消する施術の1つです。小陰唇縮小術とはどのような施術なのでしょうか。以下、詳しく解説します。
小陰唇縮小術とは
小陰唇縮小術は、女性のデリケートゾーンにおける小陰唇の大きさや形状に関する悩みを解決するための手術です。小陰唇は、女性の外性器の一部で、大陰唇の内側に位置し、尿道口や膣の入り口を保護する役割を持っています。
人によって小陰唇の大きさや形は異なりますが、過度に大きい、または不均等な小陰唇は、見た目のコンプレックスや、下着や衣服による摩擦、性交時の不快感など、さまざまな問題を引き起こすことがあります。
この手術は、余分な組織を取り除き、小陰唇のサイズを調整することで、より均等で自然な外見を目指します。手術は局所麻酔下で行われることが多く、手術時間は1〜2時間程度です。
手術後は、腫れや不快感を感じることがありますが、これらは通常、数日から数週間で改善します。回復には数ヶ月かかる場合があり、この期間中は医師の指示に従って適切なケアを行うことが重要です。
術後について
小陰唇縮小術後のケアと生活については、手術を受けた女性が注意すべきいくつかのポイントがあります。手術後、麻酔が切れた際には痛みを感じることがあるため、その前に痛み止め薬を内服することが推奨されます。また、手術当日はできるだけ安静に過ごすことが求められます。
手術後数日間は微量の出血が見られることがあるため、この期間はナプキンやガーゼを使用して患部を清潔に保つことが重要です。日常生活や家事、事務作業は手術翌日から再開できますが、シャワーは手術翌日から、バスタブでの入浴は手術後1週間を経てからとなります。
飲酒や激しい運動は手術後1週間程度控えることが望ましく、性交渉については手術後1ヶ月間は控えることが推奨されます。表面をナイロン糸で縫合した場合、1週間後に抜糸のために再来院が必要ですが、ワンデー法を選択した場合は抜糸が不要であるため、再来院の必要はありません。
会陰の施術②会陰部贅皮切除術
会陰の施術の2つ目、会陰部贅皮切除術について以下に解説します。
会陰部贅皮切除術とは
会陰部贅皮切除術は、膣口から肛門にかけての会陰部に存在する余分な皮膚や、出産時の会陰切開の傷跡を綺麗にする手術です。この手術は、会陰部の形状が気になる方、出産によって会陰の形が変わってしまった方、会陰切開の傷跡が残っている方、または急激な体重減少によって会陰部がしわしわになってしまった方に推奨されます。
手術では、余剰な皮膚や黒ずみを取り除き、見た目を改善します。さらに、筋層まで裂傷がある場合は、筋層同士を修復することで膣の締まりも改善され、見た目だけでなく機能的な改善も期待できます。
手術は通常、静脈麻酔下で行われ、痛みを感じることなく受けられます。術後は血流が豊富な部位のため、1〜2週間程度血がにじむことがありますが、徐々に落ち着きます。この期間はナプキンで患部を保護し、できるだけ安静に過ごすことが推奨されます。
治療当日は長時間の歩行を避け、帰宅後は必要以上に患部を触らないようにしてください。通常のデスクワークは翌日からできますが、痛みを抑えるための鎮痛剤の併用が推奨されます。
術後について
会陰部贅皮切除術後のケアは、術後の良好な経過のために大切なケアとなります。注意点には、以下のようなものがあります。
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- シャワーと入浴:シャワーは手術翌日から可能ですが、優しく水で流す程度に留め、直接患部をこすらないようにしてください。入浴については、手術後2週間は避けることが推奨されます。これは、お湯に浸かることで腫れが長引く可能性があるためです。
- 飲酒と運動:手術後7日間は血行が良くなることで腫れや内出血が強く出てしまうことがあるため、飲酒や運動は控えてください。激しい運動は2週間程度避けることが望ましいです。
- 性交渉:性交渉については、手術後1ヶ月程度経過してからとされています。これは、患部の回復を待つためであり、早すぎる性交渉は傷の回復を遅らせる可能性があります。
- 術後の通院:抜糸が必要な場合は、手術後10日から14日で一度診察に来院する必要があります。ワンデー(抜糸なし)の場合は再来院の必要はありませんが、不安や疑問がある場合は医師に相談してください。
- 術後の痛み:手術後3日から1週間ほどで痛みは治まりますが、個人差があります。痛みが強い場合は、医師に相談して適切な鎮痛剤を処方してもらうことが重要です。
会陰部贅皮切除術は、見た目の改善だけでなく、機能的な改善も期待できる手術です。しかし、手術後の適切なケアが結果に大きく影響するため、医師の指示に従い、慎重に回復期間を過ごすことが重要です。
まとめ
ここまで産後の婦人科形成についてお伝えしてきました。 産後の婦人科形成の要点をまとめると以下の通りです。
- 膣縮小手術は出産や加齢によって生じた膣の緩みを改善する治療であり、インティマレーザーは膣の緩みや機能的な問題を解決するための非侵襲的な美容婦人科治療
- 小陰唇縮小術は、女性のデリケートゾーンにおける小陰唇の大きさや形状に関する悩みを解決するための手術
- 会陰部贅皮切除術は、膣口から肛門にかけての会陰部に存在する余分な皮膚や、出産時の会陰切開の傷跡を綺麗にする手術
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。