性交痛は、女性にとって大きな悩みの一つです。しかし、その原因はさまざまで、一般の婦人科では対応できない場合もあります。 本記事では、性交痛の原因や婦人科形成について以下の点を中心にご紹介します!
- 性交痛の原因
- 婦人科形成について
- 処女膜切開術と小陰唇縮小手術について
性交痛と婦人科形成について理解するためにもご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
そもそも性交痛とは?
性交痛とは、性行為の際に感じる痛みのことを指します。この痛みは性行為中だけでなく、性行為後にも感じられることがあります。
性交痛は女性に多く見られる症状で、その原因は身体的な原因や心理的な要因、例えば性行為に対する不安や恐怖、過去の性的トラウマなど多岐にわたります。
性交痛は、その程度や感じる場所によって異なります。一部の女性は挿入時に痛みを感じる一方で、他の女性は性行為の動き全体を通じて、または特定の体位でのみ痛みを感じることがあります。痛みの性質も、焼けるような痛み、鈍い痛み、刺すような痛みなどさまざまです。
性交痛は、性生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、パートナーとの関係や自己評価にも影響を与える可能性があります。そのため、性交痛を経験した場合は、婦人科を受診し、原因を特定して適切な治療を受けることが重要です。
治療方法は原因によって異なり、薬物療法、物理療法、カウンセリングなどがあります。また、潤滑剤の使用や性行為の際のコミュニケーションの改善など、自己ケアによって症状を軽減できる場合もあります。
性交痛は多くの女性が経験する一般的な問題であり、適切な対応をすれば改善することが多いため、専門の機関に相談をすることが大切です。
性交痛の原因
性交痛が生じる身体的な原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
外陰部や陰唇など膣の入り口付近の痛み
性交痛は性行為の際に感じる痛みを指し、外陰部や陰唇など膣の入り口付近で痛みを感じる場合があります。この痛みは、膣の乾燥、膣や子宮の感染症、子宮内膜症、膣炎、ペルビックフロア筋の問題、ホルモンの変化など、さまざまな身体的な原因によって引き起こされることがあります。
外陰部や陰唇など膣の入り口付近での痛みは、挿入時やピストン運動によるこすれが原因で発生することが多いようです。乾燥が主な原因であり、前戯が不十分であることや、ストレス、疲労、更年期障害による膣萎縮が挙げられます。
また、過去の痛みがトラウマとなり、性行為に対する不安や緊張がストレスとなって性交痛を引き起こすこともあります。さらに、男性器と膣のサイズが合わないことや、外陰部の皮膚疾患、膣炎なども性交痛の原因となり得ます。
膣の奥や下腹部の痛み
性交痛は、性行為中またはその後に感じる痛みで、膣の奥や下腹部で感じる痛みは、さまざまな原因によって引き起こされます。この種の痛みは、性行為が深くなるときや特定の体位で感じられることがあります。
原因としては、子宮内膜症や子宮筋腫、骨盤内炎症性疾患(PID)、性感染症などが挙げられます。これらの状態は、膣の奥や骨盤内の臓器に炎症や組織の異常を引き起こし、性行為時に痛みを感じる原因となります。
子宮内膜症は、子宮内膜が子宮外に異所性に存在し、月経周期に伴って炎症や痛みを引き起こす病態です。性行為時に膣の奥が痛む主な理由の一つとされています。子宮筋腫は、子宮に良性の腫瘍が形成される状態で、大きさや位置によっては性交時に痛みを引き起こすことがあります。
骨盤内炎症性疾患は、性感染症が原因で子宮や卵管などの骨盤内臓器に広がった炎症で、性交痛のほかにも下腹部痛や不正出血などの症状を引き起こすことがあります。
これらの病態は、性交痛のみならず、不妊の原因となることもあり、早期の診断と適切な治療が重要です。性交痛を感じた場合は、性行為を避けるのではなく、婦人科を受診して原因を明らかにし、適切なアドバイスや治療を受けることが推奨されます。
婦人科形成について
婦人科形成とは、女性の外性器に関連する悩みを解決するための医療分野です。この分野では、見た目の改善だけでなく、機能的な問題の解決も目指しています。
女性のデリケートゾーンは、加齢、出産、ホルモンバランスの変化などによって形状や機能に変化が生じることがあります。これらの変化は、女性の自信や性生活に大きな影響を及ぼすことがあり、婦人科形成はそうした問題に対処するために存在します。
婦人科形成の目的は、女性が自分の体と心地よく、自信を持って生活できるように支援することにあります。この分野の手術や治療は、女性の生活の質を向上させることを目指しており、単に見た目を美しくするだけでなく、性交痛の解消、尿漏れの改善、性感の向上など、機能的な改善も重要な目標となっています。
婦人科形成にはさまざまな手術や治療が含まれますが、その中でも以下のようなものがあります。処女膜切開術と小陰唇縮小手術については後述で詳しく解説します。
- 大陰唇のボリュームアップ:加齢や出産後に大陰唇が縮小したり、ボリュームが失われたりした場合に、脂肪注入やヒアルロン酸注入によって形状を改善します。
- 膣の引き締め:出産や加齢による膣の緩みを改善し、膣の引き締めを行います。これにより、尿漏れの改善や性感の向上が期待できます。
- クリトリス周囲の改善:クリトリスの露出度を調整することで、性感の向上を目指します。
これらの手術や治療は、女性が抱えるデリケートな悩みに対して、専門的な知識と技術を持つ医師によって行われます。婦人科形成を受ける前には、医師との十分なカウンセリングが必要です。患者さんの悩みや期待する結果、手術や治療のリスクについて理解し、納得の上で手術や治療を受けることが重要です。
婦人科形成は、女性が自分の体に自信を持ち、快適な生活を送るためのサポートを提供します。見た目の改善だけでなく、機能的な問題の解決にも焦点を当てることで、女性の生活の質を大きく向上させます。
性交痛の解消が期待される婦人科形成①処女膜切開術
婦人科形成のうち、処女膜切開術とはどのような手術なのでしょうか。
処女膜切開術がおすすめな方
処女膜切開術は、性交時に痛みを感じる女性や、処女膜の構造によって性行為が困難な場合に推奨される手術です。処女膜とは、膣の入り口にある薄い粘膜のヒダで、通常は中央に小さな穴がありますが、この構造は個人差が大きいです。
処女膜が通常よりも厚い、または弾力性が少ない場合、性交時に痛みを感じることがあり、この状態を処女膜強靭症と呼びます。処女膜が完全に閉じていて血液が体外に排出されない処女膜閉鎖症の女性に対して処女膜切開術が行われることがあります。
処女膜切開術がおすすめされる方は以下の通りです。
- 性交痛がある方:性行為時に痛みを感じる女性。処女膜が厚いか、弾力性がないために挿入時に痛みを伴う場合があります。
- タンポンの使用に関する問題を抱えている方:処女膜が厚いためにタンポンの挿入や使用時に痛みや不快感を感じる女性。
- 衛生上の問題がある方:月経血がうまく排出されない処女膜閉鎖症の女性。これは、血液が体外に排出されず、膣内に溜まることで感染症のリスクを高める可能性があります。
- スポーツや運動時の不快感がある方:特定のスポーツや運動をする際に、処女膜の構造が原因で不快感や痛みを感じる女性。
処女膜切開術は、これらの問題を解決し、女性がより快適な日常生活を送れるようにするための選択肢となります。処女膜切開術を検討している女性は、婦人科で相談し、自分の状態や手術に対する理解を深めることが推奨されます。
処女膜切開術とは
処女膜切開術は、痛みや性交渉の困難さを解消するために行われます。手術では、膣の入り口を広げることで挿入をスムーズにし、痛みを和らげることが目的です。手術は静脈麻酔を用いて行われ、痛みを感じることなく手術を受けられます。
処女膜の不要に狭くなっている部分のみを丁寧に切開し、術後は膣が緩くなることはありません。手術時間は約30分で、術後の痛みは少なく、傷跡も目立ちません。
手術後の過ごし方
処女膜切開術後の過ごし方については、手術直後から数日間は微量に出血する可能性があります。そのため、手術後はナプキンを使用して患部を清潔に保ちましょう。
手術翌日からはシャワーを浴びられますが、バスタブでの入浴は手術後1週間を待ってからとなります。また、手術後は痛みが出る場合があるため、その前に痛み止め薬を内服し、手術当日はできるだけ安静に過ごすことが大切です。
日常生活や家事、事務仕事は手術翌日から再開可能ですが、飲酒や激しい運動は数日間控えることが望ましいです。性交渉については、手術後2週間を経過してから再開することが一般的です。
術後は多少ヒリヒリすることがあるため、切除した箇所に応じて内服薬の処方があります。また、ナプキンに血液がつく間は、激しい運動は控えた方が好ましいですが、日常生活の活動に問題はないため、翌日からお仕事に行かれる女性も多いようです。
性交痛の解消が期待される婦人科形成②小陰唇縮小手術
小陰唇縮小手術とはどのような手術なのでしょうか。
小陰唇縮小手術がおすすめな方
小陰唇縮小手術は、小陰唇の大きさや形に悩む女性に推奨される手術です。小陰唇が通常より大きい、または形が不揃いであることによって生じる身体的、心理的な不快感を解消することが目的です。
この手術は、以下のような状況にある女性におすすめされます。
- 見た目の悩み:小陰唇の大きさや形が気になり、自信を失っている女性。パートナーに見られることに対する恥ずかしさや不安がある場合。
- 身体的不快感:小陰唇が下着や衣類に擦れて痛みや不快感を感じる女性。また、スポーツや日常生活での違和感がある場合。
- 衛生面での悩み:小陰唇の大きさが原因で清潔を保ちにくく、感染症のリスクが高まる、または不快な臭いが気になる女性。
- 性交時の不快感:小陰唇が性交時に痛みや不快感を引き起こす場合。また、性交時の摩擦による痛みや出血がある女性。
小陰唇縮小手術とは
小陰唇は、大陰唇の内側にあるヒダの部分で、尿道口や膣を保護する役割を持っています。人によって小陰唇の形や大きさには個人差があり、何が正常であるかについての明確な定義はありません。
しかし、小陰唇が大陰唇から大きくはみ出し、下着にこすれて痛みを感じる場合や、見た目に対するコンプレックスを抱えている場合に、小陰唇縮小手術という選択があります。
この手術は、小陰唇の余分な組織を部分的に切除し、形を整えることで、女性器を自然できれいな形に整えることを目的としています。
手術は、小陰唇の皮膚が体質的に伸びやすい場合、ダイエットや加齢による皮膚のたるみ、出産時の損傷など、さまざまな理由で小陰唇が大きくなったり、左右非対称になったりした場合に行われます。
手術前には、患者さんが希望する大きさや形について詳細なカウンセリングが行われ、婦人科的な疾患がないかも確認されます。手術は局所麻酔下で行われます。
小陰唇は血流が良く、粘膜状の組織であるため、回復が早く手術跡も目立たないのが特徴です。手術後は、最低2回の検診が推奨され、術後7日以内の検診は必須です。
手術後の過ごし方
小陰唇縮小手術後の過ごし方については、手術直後から数日間は微量に出血する可能性があります。そのため、先に述べた処女膜切開術の術後と同様に、手術後はナプキンを使用して患部を清潔に保ちましょう。
手術翌日からはシャワーを浴びられますが、バスタブでの入浴は手術後1週間を待ってからとなります。また、手術後は痛みが出る場合があるため、その前に痛み止め薬を内服し、手術当日はできるだけ安静に過ごすことが大切です。
日常生活や家事、事務仕事は手術翌日から再開可能ですが、飲酒や激しい運動は数日間控えることが望ましいです。性交渉については、手術後2週間を経過してから再開することが一般的です。
術後は多少ヒリヒリすることがあるため、切除した箇所に応じて内服薬の処方があります。また、ナプキンに血液がつく間は、激しい運動は控えた方が好ましいですが、日常生活の動きに問題はありません。
まとめ
ここまで性交痛と婦人科形成についてお伝えしてきました。 性交痛と婦人科形成の要点をまとめると以下の通りです。
- 性交痛の原因には、外陰部や陰唇など膣の入り口付近の痛みや膣の奥や下腹部の痛みなどがある
- 婦人科形成とは、女性の外性器に関連する悩みを解決するための医療分野で、見た目の改善だけでなく機能的な問題の解決も目指す
- 処女膜切開術は、性交時に痛みを感じる女性や、処女膜の構造によって性行為が困難な場合に推奨される手術。小陰唇縮小手術は、小陰唇の大きさや形に悩む女性に推奨される手術
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。