女性の女性器周辺のいわゆるデリケートゾーンは、他人にいえない悩みがとても多い部位です。
その名のとおりデリケートゾーン周辺は敏感でトラブルを起こしやすく、病気の原因になることも多々あります。
また、女性器の形がコンプレックスとなり異性との交際が億劫になったり、共同浴場に入るのが苦手になったりする方も少なくありません。
小陰唇が大きくてかゆくなりやすかったり、臭いが気になるだけだと思っていたら病院で思わぬ病気が見つかったりすることもあるため油断は禁物です。
この記事ではデリケートゾーンのよくある悩みから、その解消方法となる婦人科形成について解説します。
デリケートゾーンのコンプレックスがある方が病院に行く必要があるのか、どのような方法で治療することができるのか、ご自身の悩みを解決するためにできることを判断する参考にしてください。
デリケートゾーンのコンプレックスを解消するには?
デリケートゾーンの見ため・臭い・その他の悩みは多くの女性が抱えており、他人に相談しにくい部位でもあります。
誰にもいえないコンプレックスとなってしまい、異性との交際に悪影響となるケースもあるため、すぐに解消したいと思う方も多いでしょう。
花王株式会社が行ったアンケートでは、デリケートゾーンに悩みを抱える女性の半数以上が「生活に支障が出ている」と回答しながら、病院を受診する人数はごく少数にとどまっています。
婦人科や美容外科ではデリケートゾーンのコンプレックスを解消するための処置も多く行っており、長年の悩みが解消して喜ぶ女性も大勢います。
またデリケートゾーンの形はそもそも個人差が大きく、見栄えは気になっても医学的にはまったく問題ない場合も多くあります。まずは正しい知識を身につけることも、コンプレックス解消の第一歩となるでしょう。
デリケートゾーンのよくある悩み
デリケートゾーンと呼ばれるとおり、女性器の周辺部はトラブルが多く個人差も大きい部位です。それゆえに他人にも相談できない悩みも多いため、信頼できる情報をもとに知ることからはじめましょう。
デリケートゾーンのよくある悩みを解説していきますので、ご自身に当てはまる部分を参考にしてみてください。
黒ずみが気になる
女性器の周辺部である大陰唇・小陰唇の黒ずみは、デリケートゾーンの非常に多い悩みのひとつです。
女性器が黒ずんでいるのは性交の回数が多いからというイメージを持つ方も多く、そのように思われたくないという悩みも多いでしょう。
しかし性交の頻度とデリケートゾーンの黒ずみはまったく関係が無く、黒ずみの原因は主に摩擦・ホルモンバランスといわれています。
性交の際にも多少の摩擦がありますが、日常的な下着や陰毛の摩擦に比べれば極めて短時間であるため、黒ずみの原因にはなり得ません。
また出産や月経など女性特有のホルモンバランスの変化によって、外陰部にメラニン細胞が増えてしまい、黒ずみが見られることも珍しくありません。
それでもこういった知識のない方からは心ない見方をされてしまうケースもあるため、デリケートゾーンの黒ずみはすぐに解消したい悩みとなっています。
大陰唇のたるみ・しわ
膣を覆う部分である大陰唇の形は、人間の顔が一人ずつ違うように、個人差が非常に大きい部位です。
人によっては大陰唇にたるみ・しわがあることで見栄えが悪いと感じ、コンプレックスになることもあります。
また内側の小陰唇が大きい方の場合、大陰唇がたるむことによって接触が生じてかゆみを感じる場合があります。
このようなケースでは単なるかゆみだけでなく、接触部分に汚れがたまって不潔になる場合もありますので、婦人科形成の治療も検討してください。
小陰唇が大きい
小陰唇も大陰唇と同じように、個人によって形の違いが非常に大きい部位です。小陰唇が大きいと大陰唇からはみ出す形になり、下着や陰毛と接触して黒ずみが生じやすくなります。
小陰唇が大陰唇のなかに完全に隠れている方もいますが、一般的には大陰唇から少しはみ出す程度が通常とされています。
このため多少のはみ出しならば悩む必要はありませんが、大幅にはみ出してかゆみや痛みを生じている場合は、治療が必要になるケースもあります。
女性器の形に左右差がある
大陰唇や小陰唇の大きさに左右差があり、見栄えが悪いと感じる方も非常に多いです。しかし人間の身体はそもそも左右対称ではないため、女性器の形も左右差があります。
小陰唇が大幅にはみだして痛み・かゆみを生じていたり、黒ずみが気になる場合以外は特に対処は必要ありません。
しかし見栄えの問題でコンプレックスになる方も少なくありませんので、婦人科形成の処置により左右を合わせることも可能です。
副皮を除去したい
大陰唇と小陰唇の間にある副皮が非常に大きい方の場合、副皮除去の手術を行うこともあります。副皮はとても個人差の大きい部位で、そもそも副皮がほとんどない方も少なくありません。
逆に副皮が大陰唇からはみ出す程大きい場合、汚れが溜まりやすくデリケートゾーンの臭いの原因にもなります。
デリケートゾーンの臭いに悩み婦人科を受診して、ご自身が副皮が大きいタイプだと初めて知る方もいます。
性交痛がある
性交の際に強い痛みがあると、性交自体が苦痛となりパートナーとの関係悪化にもつながります。性交痛の主な原因は腟分泌液の不足・膣粘膜の萎縮により摩擦に耐えられなくなることです。
精神的なストレスなどが原因の場合もありますが、ホルモンバランスの乱れなどによる場合では婦人科治療により性交痛がやわらぐケースもあります。
性交はとてもプライベートなことであるため医師であっても相談しづらい分野ですが、パートナーとの良好な関係や豊かな人生のためにも一度相談してみてください。
においが気になる
女性のデリケートゾーンは男性に比べて汚れがたまりやすく、また下着で蒸れやすいため臭いの発生も多い部位です。
多くの場合は毎日の入浴で清潔にすることで解決しますが、毎日洗っていても臭いが強い場合は女性器からの分泌物が原因となっている可能性があります。
この場合は細菌の感染やほかの婦人病の可能性もあるため、強い臭いが続く場合は早めに婦人科を受診してください。
膣のゆるみが気になる
特に出産後に膣が緩んでしまい、パートナーに指摘される方も少なくありません。また加齢によってデリケートゾーン全体の筋肉が弱くなり、尿もれや便もれをしやすくなるのも大きな悩みとなります。
お風呂やプールに入った時に、水が入ってくる感覚がある場合も膣のゆるみが生じている可能性が高いでしょう。
婦人科形成について
婦人科形成とは、女性器の形を整える処置全般を指します。一般的な形成外科では女性器の手術はほとんど行われませんが、美容外科では頻繁に行われる手術です。
かゆみ・痛み・性感染症などを防ぐために必要な手術もあれば、見た目を整える審美目的の手術もあり、女性特有のデリケートゾーンのコンプレックスを解消するのに役立っています。
婦人科形成では1時間程度での簡単な切除・縫合などが多く、そもそもメスを使わないレーザー治療などもあるため、一般的な手術のイメージとは違って気軽に受けられるのが特徴です。
デリケートゾーンのコンプレックスを解消するための治療
デリケートゾーンのコンプレックス解消のために、一般的に行われる婦人科形成の治療について解説します。
女性器の形が原因で病気を生じている場合は保険適用による手術も可能ですが、コンプレックス解消のために形を整えるなどの婦人科形成は自由診療となります。
また婦人科形成を行っている美容外科は、そもそも自由診療のみのクリニックがほとんどであるため、費用は保険診療に比べて高額です。
まずはカウンセリングを受けてコンプレックスを相談し、かかる費用・本当にやる必要があるのかなどを慎重に検討しましょう。
代表的な婦人科形成は、以下のような治療があります。
黒ずみに対するレーザー治療
デリケートゾーンの黒ずみ部分にレーザーを照射し、黒い色素を作るメラニン細胞を破壊する治療です。
黒ずみが生まれるのはメラニン細胞が色素を過剰生成するのが原因であるため、メラニン細胞を破壊すれば自然と肌のターンオーバーで色素が排出され、黒ずみは無くなっていきます。
一回の治療は10分程度で痛みはほとんど無く、1ヵ月おきを目安に黒ずみが消えるまでレーザー照射を繰り返します。
施術の負担は少ないですが、黒ずみ解消の効果を実感できるまでに時間がかかるのがデメリットです。
大陰唇のたるみを取る治療
大陰唇のたるんだ部分を切除し、きれいに縫合して形を整える治療です。外科的手術になりますが、手術自体は1時間程度で施術は1度で済みます。
局所麻酔を行うため施術中の痛みはほとんどないといわれていますが、麻酔が切れてきた時に痛みを感じる可能性があります。
縫合する糸は溶けるタイプが多いため抜糸も必要なく、何度も施術する必要がないため忙しい方でも行いやすい婦人科形成です。
小陰唇縮小術
小陰唇が大きく目立っていたり、左右差があったりと見栄えが気になる部分を切除して形を整える治療です。
見栄えだけでなく、大きな小陰唇が下着に当たって痛み・かゆみ・汚れがたまりやすく臭いが気になる場合なども行われるポピュラーな婦人科形成となります。
局所麻酔による施術時間は1時間程度で、溶ける糸を使用すれば抜糸も必要ありません。
副皮除去術
大陰唇と小陰唇の間にある副皮が大きく、見栄え・臭いが気になる場合に切除して形を整える治療です。
小陰唇縮小と同じように、切除・縫合を行って形を整えて見栄えを良くします。VIO脱毛を行ったのをキッカケに、副皮除去をされる方も少なくありません。
施術時間は1時間程度で、小陰唇縮小と合わせて施術することも可能です。
処女膜切開手術
処女膜は膣の入り口にある薄い粘膜のヒダで、初めての性交の際に破れて無くなることがほとんどです。
しかし稀に処女膜が非常に固くなっている場合があり、性交の際に強い痛みが生じる・出血が多い場合などは切開手術を行います。
所要時間は30分程度で、局所麻酔を行うため施術中の痛みはほとんどないとされています。
膣縮小
膣のゆるみが気になる場合に、膣の入り口を狭めるために行う手術です。
膣の肛門側の粘膜を切除した後ヒダを作って縫合し、膣の入り口を狭くしていきます。外科的な施術で縫合するため、効果は半永久的に持続します。
所要時間は1時間程度で、施術の傷が落ち着くまで1ヵ月程度は性交を控えることが必要です。
切除・縫合をしたくない場合は、脂肪注入やヒアルロン酸注入によって膣を狭くする方法もありますが、数週間で体内に吸収されてしまうため効果は一時的なものです。
婦人科形成の治療を受ける際の注意点
婦人科形成を行う美容外科クリニックでは、多くの場合施術前に入念なカウンセリングを行っています。
例えば「小陰唇を縮小する」といっても、具体的に何mm切るのか・どのような形にするのか・左右どちらも切るのかなど事細かな打ち合わせが必要です。
このようなカウンセリングの際に医師と十分に相談し、気になる点や悩みなどがあれば積極的に話すようにしましょう。
コンプレックスとなっている部分なども、安心して話せる医師を選ぶことも重要なポイントになります。
また施術内容によっては服薬指導が行われ、常備薬をストップする必要がある場合もあります。
例えば、血液をサラサラにする薬やピルなどは手術の数週間前から服用を中止しておくケースもあるため、このような点もカウンセリングで医師に確認しておきましょう。
婦人科形成の手術を受けた後の過ごし方は?
デリケートゾーンの一部を切除する手術を行った場合、傷口が落ち着くまでのダウンタイムが必要となります。
一般的には婦人科形成のダウンタイムは1週間程で、この間は性交を控えて女性器への刺激を極力少なくしておきます。
施術後には術後の経過観察のために1〜3週間おきに通院が必要となるため、あらかじめスケジュールを空けておきましょう。
多くの場合手術当日は入浴を控えますが、翌日からはシャワーのみで可能となります。
このような点を知っておき、手術の前に予定の調整をしておけばスムーズです。
まとめ
女性に特有なデリケートゾーンのコンプレックスと、その解消方法となる婦人科形成について解説しました。
女性器の周辺はとてもトラブルが多く、また見た目や体質の個人差も大きいため、他人との違いが大きなコンプレックスとなるのも不思議ではありません。
しかし現在では美容外科による婦人科形成の技術も進歩しており、1時間程度の手術でも大陰唇のたるみ取り・小陰唇縮小などが行えます。
婦人科形成は自由診療にはなりますが、女性のコンプレックス解消のために必要とする方が非常に多い分野です。
高額な施術を行わなくても、カウンセリングで医師に相談するだけで気が楽になったり、コンプレックスがやわらぐこともあります。
またデリケートゾーンの見栄えだけで悩んでいたのが、病院に行ったら実は病気が隠れていたというケースも少なくありません。
デリケートゾーンのコンプレックスは他人に相談しにくい悩みであるだけに、専門家である医師に相談してみてはいかがでしょうか。
参考文献