形成外科をはじめとする医療機関で行われる豊胸術はシリコンバッグの埋め込みや、ヒアルロン酸・脂肪を注入する外科的療法です。
シリコンバッグを埋め込む際には手術が必要ですし、ヒアルロン酸・脂肪を注入する場合でも注射器やカニューレを使います。残念ながら一定のダウンタイムも生じます。
そんななかで注目を集めているのが、外科的な処置を必要としない光豊胸です。光豊胸の特徴・効果・施術可能な場所・メリット・デメリットなどを解説します。
光豊胸の特徴や効果
- 光豊胸の特徴について教えてください。
- 医療機関で行われている豊胸術は、何かをバストに入れることによって人工的にカップサイズを大きくします。シリコンバッグ埋め込みでも、ヒアルロン酸・脂肪の注入であってもこの点は同じです。人の手を加えてバストアップするのですから、相応のリスクもあります。これに対して光豊胸はIBEをはじめとする光を照射し、バストが成長する力を高めようとするものです。医療行為によって強引にバストサイズを大きくしようというのではなく、あくまでも自然なバストの成長の手助けをするというスタンスだといえます。
- 光豊胸の効果を教えてください。
- 光豊胸を行っている施設側は、以下のような効果があると説明しています。
- クーパー靭帯の強化
- 血液・リンパの循環促進
- 女性ホルモン分泌促進
クーパー靭帯はバストを支えるものです。加齢などで伸びるとバストを支える力が弱くなり、ハリがなくなります。光照射はクーパー靭帯の強化が期待できるため、バストのハリを取り戻せるというのが施設側の説明です。光照射によって血液・リンパの循環が促進されればバストに栄養が多く届き、成長力アップが可能だとも書かれています。また、光照射による刺激で女性ホルモンの分泌促進が期待できるという説明もあります。ただし、問題はこれらの光豊胸の効果について「医学的根拠がない」と否定的なスタンスを取る医療機関は多いです。
- 効果はどのくらい持続するのですか?
- 光豊胸の効果については、集中的に施術を行う期間の後は数ヵ月に1回のメンテナンスのみでよいと施設側は説明しています。施設側の説明を信じるならば、光豊胸は本人の成長力によるバストアップです。ヒアルロン酸のように体に吸収される物質を注入しているわけではないので、効果が長くなる可能性もあります。問題は、具体的な効果の持続期間が記載されていないことです。施設側の詳細な説明がない以上、具体的にどのぐらい豊胸効果が続くのかについて回答することはできません。
- 光豊胸のダウンタイムについて教えてください。
- 光豊胸は照射を行うのみで麻酔は不要です。このため、術後に痛みが生じるようなダウンタイムは生じません。シリコンバッグ埋め込みの場合、術式によっては2ヵ月程度痛みが続くことがあります。ヒアルロン酸注入術・脂肪注入術でも、術式を行った箇所に内出血が起きるケースがあります。光豊胸では、そのようなダウンタイムは生じません。負担という意味では、医療機関の豊胸術より軽いといえます。
- 光豊胸の施術はどこで受けられますか?
- 光豊胸の施術が受けられる施設は、エステサロンが主流です。一部の医療機関で施術を受けることはできますが、現時点で可能なのは少数です。そもそも光豊胸は医療行為だとされていないので、医療機関でなくても施術ができます。施術を行うエステシャンには民間機関による資格がありますが、資格がなくても光豊胸の施術は可能です。一方、シリコンバッグ埋め込みやヒアルロン酸・脂肪の注入は国家資格を持った医師しかできません。安全性を考慮した場合、この点をどう判断するかは意見が分かれるところです。
光豊胸のメリット・デメリット
- 光豊胸のメリットを教えてください。
- メリットとして大きなものは、施術による体への負担が小さいことです。シリコンバッグ埋め込みの場合は脇や胸部にメスを入れなければならず、術後の痛みは避けられません。ヒアルロン酸注入・脂肪注入も胸部に内出血が起きることがあります。脂肪注入術の場合は、脂肪を抽出した部位にもダウンタイムが生じます。これに対して、光豊胸は光線照射のみで麻酔は不要です。このため、術後の日常生活への負担はほぼ生じません。自分の成長力を促す豊胸術であるため、自然な仕上がりが期待できるのもメリットです。シリコンバッグ埋め込みは、リップリングという現象が起きることがあります。胸部にしわや凹凸ができるなど、違和感・不自然さが生じることです。脂肪注入術の場合も、うまく定着しないでしこりになることがあります。光豊胸は人工的に胸部へ手を加えるようなことはなく、自分の成長力によってバストアップを図ります。このため、自然な仕上がりが期待できるのです。
- 光豊胸のデメリットを教えてください。
- デメリットのなかでも、触れ込みどおりの効果が出るか不明なところは問題です。そもそも、光豊胸は医療行為ではありません。施術を行うのも、少数の医療機関を除けばエステサロンです。医療機関の豊胸術が国家資格を持つ医師・看護師が行うのに対し、エステサロンの豊胸術を行う人はエステシャンの資格を持っているとは限りません。施術に一定のクオリティーが保たれているかどうかがわからないのです。またクーパー靭帯の強化など光豊胸の効果とされるものは、一部の医療機関から医学的根拠がないと指摘されています。このため実際に豊胸に成功したとしても、それが光豊胸の効果だと断言することはできません。医療機関による施術でないことからくる不安感が、デメリットなのです。
- 光豊胸を受けられない人もいるのですか?
- 実際に光豊胸を行っている医療機関では、以下のような人は施術を行わないように注意を呼びかけています。
- 先天性発育不良
- 胸部奇形
- 光過敏症
- 心臓疾患
- 妊娠中・授乳中
- 炎症をはじめとする乳房疾患
エステ側では皮膚が薄い人は火傷のリスクがあるとしています。また、ペースメーカーなど医療用電子機器を埋め込んでいる人も施術を断っているのです。医療行為ではないため、何が禁忌なのかしっかりとした判断材料はありません。とはいえ、医療機関やエステが問題点を指摘しているような体質・疾患を持っている人はリスクを避けるためにも光豊胸を行わない方がよいといえます。
豊胸術との違いや費用
- 光豊胸と医療機関で受ける豊胸術の違いを教えてください。
- 違いのなかでも重要なものは、光豊胸は医療行為にあたらないことです。シリコンバッグ挿入やヒアルロン酸・脂肪の注入は医療行為なので、形成外科をはじめとする医療機関でないとできません。これに対して、光豊胸は医療行為ではないためエステなどで施術が可能です。医療機関の豊胸術は国家資格を持った専門家でなければできませんが、光豊胸はエステシャンの資格を持っていなくても施術が可能です。極論をいえば、専用の機器を購入するだけの経済的余裕があれば自宅でもできます。一方、医療機関で行われる豊胸術は一定の医学的根拠を持って行われています。ポリアクリルアミドジェル(PAAG)をはじめ、過去に健康被害をもたらした非吸収性充填剤の注入は推奨しないなどの厳しい指針が定められているのです。しかし、医療行為にあたらない光豊胸にはそのような指針は設けられていません。このため、施術自体にどのようなリスクがあるのか施術者の側に周知されているとはいい難い状況です。
- 光豊胸の費用はどのくらいですか?
- そもそも光豊胸は医療行為にあたらないため医療保険の対象ではなく、施術料金については施設ごとに異なっています。そのような事実を踏まえたうえでいうと、施術1回あたり2万円~3万円(税込)が相場だとされています。光豊胸は1回だけでは目に見える効果が出ないため、10回以上の施術が必要です。仮に10回の施術を行うとなると、20万円~30万円(税込)の費用が必要な計算となります。施術が15回ならば30万円~45万円(税込)です。ただ、医療機関の豊胸術は高いところだと100万円(税込)を超えるものもあります。光豊胸と比較すると、2倍を超える費用の差です。費用の安さを取るか、医療機関の信頼性を取るかは判断が分かれるところです。
編集部まとめ
光豊胸は医療機関と比較すると体への負担が小さく、ダウンタイムが生じにくいというメリットがあります。シリコンバッグ埋め込みなどと比較して費用がかからないのも、特筆すべき点です。
ただ、光豊胸は医療行為ではないという問題があります。施術を行うのが、国家資格を持った専門家ではないというのは不安要素となるでしょう。一部の医療機関が、光豊胸の効果に医学的根拠がないと指摘しているのも気になる点かもしれません。
もし必ずバストアップしたいと考えているのなら、光豊胸よりも医学的根拠がしっかりと示されている医療機関の豊胸術を検討すべきです。光豊胸を行う場合でも、エステではなく医療機関を選ぶことを推奨します。
参考文献