「もともとの胸のサイズが小さい」「左右で大きさや形が違う」「加齢によりたるんでしまった」といった胸に関する悩みを持つ方も少なくないと思います。そのようなときには豊胸手術という選択肢がありますが、術後の触り心地が思っていたほど柔らかくならずに固くなってしまう場合があります。ここでは豊胸手術の主な術式のメリット・デメリットや術後に胸が固くなってしまう原因、また固くなってしまった胸を柔らかくする方法はあるのかをまとめました。
豊胸手術とは
豊胸手術とは胸の大きさや形への悩みを解決してくれる美容手術のことです。豊胸手術とはどのようなものなのか、豊胸手術の主な術式別のメリット・デメリットについて紹介します。
- 豊胸手術とはどのようなものですか?
- 豊胸手術は、胸のボリュームや形状の問題を解決するための手術です。近年では美容目的だけでなく、乳がんなどの手術によって失われた胸に対しての乳房再建術としての豊胸手術も増えてきています。 豊胸手術には大きく分けて三つの方法があります。 まず、ヒアルロン酸豊胸です。これはプチ整形などで利用するヒアルロン酸の豊胸用ジェルを注入する方法です。谷間を作りたいなどの部分的なバストアップにも向いています。 次に、脂肪注入豊胸は自分自身の太ももやお腹などから吸入した脂肪を注入する方法です。脂肪そのものを注入するのではなく、不純物を取り除いた純粋な脂肪細胞を注入します。より細かい脂肪細胞であれば定着率が高くなり、バストアップも期待できます。 最後に、シリコンバッグ豊胸はシリコンなどで作られたバッグと呼ばれる人工乳腺を大胸筋下、乳腺下、大胸筋膜下などから挿入する方法です。シリコンバッグには様々なサイズがあり、大幅なサイズアップも可能になります。
- 豊胸手術の主な術式とメリット・デメリットについて教えてください。
- 豊胸手術の主な術式は、前述のように「ヒアルロン酸豊胸」「脂肪注入豊胸」「シリコンバッグ豊胸」の三つがあります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
・ヒアルロン酸豊胸のメリットとデメリット
ヒアルロン酸豊胸の最大のメリットはメスを使わないため気軽にできることです。ダウンタイムが少ないので翌日からの仕事も可能であり、傷口も小さくほとんど跡がわかりません。自然な見た目になりやすい点も、豊胸手術をしたことを周囲に知られたくない人にとっては大きなメリットではないでしょうか。 デメリットとしては、ヒアルロン酸が半年ほどで徐々に体内に吸収されてしまうため、少しずつサイズが小さくなってしまい半永久的な効果が望めないことです。また大量のヒアルロン酸を注入してしまうとしこりになる可能性があるのでバストアップに制限があり、平均で約1カップほどになります。またジェルは液体ではなく固形なので触り心地はやや固くなります。・脂肪注入豊胸のメリットとデメリット
脂肪注入豊胸は自身の脂肪を使用するので柔らかい胸に仕上がるうえ、脂肪を取った部分は細くなるので一石二鳥の効果があることです。挿入部分は5mmほどの切開で大丈夫です。またほとんどの場合、太ももからの吸入になりますが、他部位の脂肪があれば2回目も行うことができます。 ただ、脂肪を注入しても定着せずに一部吸収されてしまうので、どれくらいの大きさになるかは正確にはわからず将来的に小さくなる可能性もあることがデメリットです。またしこりになることがあるため、しこりにならずに大きくできるバストサイズは1.5カップ程度です。ヒアルロン酸豊胸に比べてダウンタイムが長く、体への影響が大きくなります。・シリコンバッグ豊胸のメリットとデメリット
シリコンバッグ豊胸では、シリコンバッグには幅広いサイズや形状、材質があるので確実に大きくバストアップすることができます。体格によって合うかどうかはありますが、2カップ3カップ大きくすることも可能で半永久的な効果があります。万が一トラブルがあっても丸ごと取り出すことができることも大きなメリットでしょう。 ただ、一番のデメリットは他の手術よりも体への負担が大きく安静が必要になることです。シリコンバッグ豊胸は他の豊胸手術と比較して痛みも強く起こります。また、胸の厚みに比べて大きなバッグを入れると、触り心地が固くなってしまいます。
豊胸手術後に胸が固くなる原因
豊胸手術を検討していても「胸が固くなるのではないか」と心配になる人もいるのではないでしょうか。術式によって豊胸手術後に胸が固くなる原因は異なりますので、それぞれの原因を見ていきましょう。
- ヒアルロン酸豊胸後に胸が固くなる原因について教えてください。
- 豊胸に使用するヒアルロン酸は、顔の整形などに使われているヒアルロン酸よりも粒子が大きいため触り心地が固くなります。ヒアルロン酸のジェルは液体ではなく固形なので想像しているよりもやや固く感じるかもしれません。術後に一時的な炎症などを起こして固く感じる場合もありますが、通常は時間とともに改善されます。 また、ヒアルロン酸の量や注入部位にも注意が必要です。ヒアルロン酸の量が多すぎるとしこりになる可能性がありますし、皮下に注入してしまうと触れたときに固く感じます。 豊胸前の胸に脂肪がほとんどない場合なども触り心地が固くなってしまうようです。 胸の固さが気になる場合は担当医師に相談し、適切なアフターケアを受けましょう。
- 脂肪注入豊胸後に胸が固くなる原因について教えてください。
- 一か所に集中して脂肪を注入すると脂肪の塊ができることがあります。この脂肪の塊は壊死しやすく、これがしこりとなる可能性があるので注意が必要です。さらに適量以上の脂肪を注入することで脂肪の一部が壊死してしこりの原因ともなります。そのため一か所ではなく分散して適量を注入しなければなりません。 また脂肪注入豊胸にはまれに細菌感染のリスクから感染部分がしこりになっている可能性もあります。感染が疑われる場合や胸の固さが気になる場合はクリニックを受診し、診てもらいましょう。
- シリコンバッグ豊胸後に胸が固くなる原因について教えてください。
- シリコンバッグ豊胸術を受けた後に胸が固くなる原因としては「カプセル拘縮」が考えられます。施術を受けた方に起きる可能性はおよそ2%です。挿入したシリコンバッグの周りに形成される被膜が何かの原因で分厚く固くなってしまい、外側からシリコンバッグを圧迫するようになって起こります。カプセル拘縮になると胸が固くなるだけでなく、胸の形が不自然になり痛みが出たりします。 そのほかに、シリコンバッグの種類や挿入場所が胸の固くなる原因と考えられる場合もあります。シリコンバッグの種類によっては材質などが異なりますので固さにも違いがあります。体内でシリコンバッグの柔らかさが変化して固い手触りになることがあります。また、乳腺下は浅い部分に挿入されるため、固さが目立ちやすくなります。 胸の固さが気になる場合は受診して担当医師に相談しましょう。
豊胸手術後に固くなった胸を柔らかくする方法
豊胸手術後に固くなった胸を放置するとしこりとして体内に残ってしまうことがあります。胸を柔らかくする方法としてはバストマッサージなどがありますが、豊胸手術後に固くなった胸を柔らかくする方法は術式別で違います。それぞれを見ていきましょう。
- ヒアルロン酸豊胸後に固くなった胸を柔らかくする方法はありますか?
- ヒアルロン酸注入直後は固い状態ですが、徐々に身体に馴染んでいきます。ヒアルロン酸の吸収を促進し固さを和らげるために、胸を押しつぶすようにマッサージを行いましょう。アフターケアで無料のバストマッサージを受けられるクリニックもあります。
- 脂肪注入豊胸後に固くなった胸を柔らかくする方法はありますか?
- しこりを放置すると石のように固くなることがあり、これを石灰化といいます。石灰化していないしこりであれば注射器を使って、壊死した脂肪の塊などの中身を出すだけで固さを解消することができますが、石灰化したしこりは手術によって取り除かなければなりません。これらの方法で固い部分を取り除いて胸を柔らかくすることができます。
- シリコンバッグ豊胸後に固くなった胸を柔らかくする方法はありますか?
- 術後の組織の柔軟性を高めて固さを和らげる方法としてマッサージがあります。またシリコンバッグの入れ替えを行うことで固さを改善できる可能性もあります。別の方法として、自身の脂肪を固い部分に注入することによって柔らかく改善できる場合もあります。
編集部まとめ
豊胸手術には大きく分けて三つの方法があり、術後に胸が固くなってしまった場合でも術式によってそれぞれ原因や柔らかくする方法が違います。豊胸手術それぞれのメリット・デメリットを把握して、担当医師とのカウンセリングをしっかり行いましょう。症例写真をチェックしてクリニックや医師の実績を把握することも大切です。アフターフォローの体制を確認して、豊胸手術後に胸が固くなった場合にもきちんと対応してもらえるのかをチェックしておくことも忘れないようにしましょう。
参考文献