目は顔の印象を大きく左右するパーツのため、見た目の悩みを抱える方が多い部位でもあります。生まれつき二重瞼であっても、幅の広い二重に憧れている方もいるのではないでしょうか。
二重術は一重瞼を二重にするだけでなく、二重幅を変更するための方法としても有効です。
こちらの記事では二重の幅を広くする方法を解説するとともに、二重の種類・二重術についても紹介します。目元の印象を変える方法について、理解を深める一助となれば幸いです。
二重幅を広げる方法は?
二重幅を広げる方法は大別すると、医療機関を利用する方法とセルフでする方法の2種類があります。
二重幅は瞼にある筋肉の形状・力の強さによって決まっているため、人工的な力を加えなければ変えられません。
瞼の内部には瞼板という軟骨に似た組織があり、眼瞼挙筋という筋肉が瞼板を引っ張り上げることで目が開きます。
眼瞼挙筋が瞼板とつながる途中で分岐して瞼の皮膚まで伸びていると二重、分岐していないと一重の瞼となります。
目を開く際に眼瞼挙筋がつながっている皮膚が引き上げられ、折りたたまれることで形成されるしわが、二重のラインです。
つまり、二重幅は分岐した眼瞼挙筋の位置と皮膚を引き上げる力の強弱によって決まります。
医療機関を利用する方法として代表的なのが、瞼の美容整形(二重整形)です。美容整形は保険適用外のため費用負担が大きい反面、一度の施術で継続的に効果を得られます。
美容整形はメスを使った手術をイメージする方も多いかもしれませんが、二重術はメスで切らない方法もあります。
一方セルフで行う代表的な方法は、市販の二重用グッズを利用する方法です。グッズ自体は安価ですが、継続的な費用と手間がかかります。
どちらの方法もメリット・デメリットがあるため、ご自身に合う方法を選ぶようにしましょう。
二重の種類
二重の種類は二重瞼を形作るラインの位置によって、次の3タイプに分類できます。
- 奥二重
- 末広二重
- 平行二重
二重の種類によって受ける印象が異なるため、ご自身が理想とする二重がどのタイプか確認してみましょう。
美容整形手術を受ける場合は特に、担当医師と事前にイメージを合わせておくことが重要です。
もとの目元の状態によっては、理想どおりの二重のタイプにできるとは限りません。また、顔とのバランスによっても自然に見える二重のタイプが異なります。
希望の仕上がりを明確にしたうえで医師とよく話し合い、納得してから施術を受けるようにしましょう。
奥二重
奥二重は二重のラインが目立ちにくい二重です。二重幅が狭く、目尻の方だけわずかに二重に見えることが多くあります。
見る角度によっては二重とわかりにくく、一重に見えてしまうこともあります。一重に近く、クールで知的な印象を与える場合が多いでしょう。
末広二重
末広二重は目頭から目尻にかけて徐々に二重の幅が広がっていく二重です。
目頭側のラインは蒙古ひだの内側に収まっており、蒙古ひだが発達しているアジア系の方に多いタイプの二重です。
日本人の顔にもなじみやすく、違和感のないナチュラルな印象になります。
並行二重
並行二重は目頭から目尻までのラインが目の上側の境界線と平行になっている二重です。
欧米の方に多いタイプの二重で、大人びた見た目となります。まつ毛の生え際がはっきりと見えるため、華やかな印象を持たれやすいのが特徴です。
同じ平行二重でも、二重幅の広さによって印象が異なります。幅の狭い平行二重はメイクをしていない状態でも違和感がなく、自然に見える平行二重です。
これに対して幅の広い平行二重は目の輪郭がはっきりするため、より華やかな印象を与えます。
ただし平行二重の場合、二重幅を広くしすぎると黒目が小さく見えてしまい、ぼやけた印象になることもあります。
二重術の種類は?
二重幅を広げる美容整形の手術方法には、埋没法と切開法の2つがあります。
手術方法によって特徴が異なるので、理想とする二重のタイプに適した方法を選びましょう。
美容整形を考えている方は、それぞれの二重術のメリット・デメリットを知っておきましょう。
なお、両目の二重幅が異なる場合などに片目だけ施術を行うことも可能です。その場合でも完全に左右対称にすることは不可能ですので、過度な期待には注意が必要です。
埋没法
埋没法は、糸で皮膚を留めることで二重のラインを作る二重術です。瞼に局所麻酔をかけ、数箇所に針で糸を通して結ぶことで二重ラインを固定します。
埋没法は糸を留める場所によって、挙筋法(きょきんほう)と瞼板法(けんばんほう)に分類できます。
挙筋法は挙筋(瞼を上げる筋肉)に糸を通す方法です。麻酔の量が少なく済むうえに細い針と糸で施術できるため、手術時の負担や痛みが少ない傾向にあります。
昔から行われてきた方法で現在も広く行われているのが、瞼板法です。瞼板とは瞼の軟骨状の組織のことで、硬い部分のため挙筋法と比較すると太めの針と糸が使用されます。
瞼板自体に麻酔がきかないため周辺に広く麻酔をかける必要があり、手術時の患者さんの負担はやや大きくなります。
瞼板法と比較して挙筋法は高い技術力が必要とされるため、クリニックによっては挙筋法を使用した埋没法を採用していません。
糸を留める数や注意点もクリニックごとに違いがあるため、事前に確認しておきましょう。
切開法
切開法は、メスで皮膚を切り開き縫い合わせることで二重のラインを作る二重術です。
手術後1週間程度で抜糸するため、瞼に糸が残りません。切開した傷跡が二重のラインになります。
次のような方は、埋没法よりも切開法のほうが向いています。
- 瞼の皮下脂肪が多い
- 瞼に厚みがある
- 過去に埋没法でもとに戻ってしまった経験がある
また、目頭切開・目尻切開・グラマラスライン形成(たれ目形成)など、目のほかの部分に対する手術を併せて行うことも可能です。
希望する二重幅やもとの目の状態によっては、目頭切開により二重術の効果が出やすくなる場合があります。
ただし、施術箇所が増えると体への負担が増えダウンタイムが長引く傾向にあります。事前に医師に確認・相談し、無理のない範囲で施術を受けるようにしましょう。
埋没法のメリット・デメリット
埋没法の施術時間は10~15分程度と短く、費用が切開法と比較して安価です。
脂肪が多い瞼の場合は埋没法で二重ラインが作りにくいため、患者さんの瞼の状態によっては埋没法が適さない場合があります。
代表的な埋没法のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリット:切らずに二重瞼にできる
埋没法のメリットのひとつは、メスを入れずに二重にできる点です。手術時間が短くダウンタイムも少なく済むことから、体に負担をかけずにできる二重術です。
埋没法では皮膚と皮膚をたぐり寄せ、複数箇所を糸で留めます。針を使用して糸を通しますが、局所麻酔をかけて行うため施術中の痛みはほとんどないといわれています。
自然に見える末広二重であれば、切開せずに埋没法で実現できる場合が多いです。
万が一思いどおりにならなかった場合でも、術後早い段階で糸を外せばもとに戻すことが可能です。
メリット:切開法よりもダウンタイムが短い
埋没法のダウンタイムは1週間程です。術後は目の開閉時に違和感がある程度で、痛みはほぼありません。
腫れはほとんど起こらない人も多いですが、腫れた場合でも泣きはらした後のような腫れで、1週間程で徐々に引いていきます。
針で穴をあけた周辺に内出血が出ることがありますが、メイクで隠すことができるでしょう。傷跡が目立ちにくいのも埋没法の特徴です。
アイメイク・コンタクト・洗顔は翌日から可能なため、日常生活への影響はほとんどないでしょう。
デメリット:もとに戻ってしまうことがある
埋没法は糸の力で固定する方法のため、固定力が弱まってもとに戻ってしまうことがあります。また、糸が取れてしまう場合もあります。
特にもとに戻りやすいのが、瞼の皮膚に厚みがある・脂肪が多い方です。クリニックで実際に瞼の様子を確認してもらうことで、もとに戻るリスクの程度を確認しておきましょう。
なお糸が取れてしまっても、施術による二重のラインの癖が皮膚についている場合は、二重幅が維持できることもあります。
切開法のメリット・デメリット
切開法の施術時間は20~50分程度と長く、費用は埋没法と比較して高価な傾向にあります。
メスを使用する手術のため、一度施術してしまうと完全にもとに戻すことはできませんので注意が必要です。
代表的な切開法のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリット:もとに戻りにくい
切開法は半永久的に二重瞼を維持できます。
瞼を切開し二重のラインを作ったうえで皮膚と皮膚をしっかりと縫合するため、老化による皮膚のたるみ以外ではもとに戻ることはありません。
切開時に瞼の余分な脂肪を取り除けるため、脂肪が多い方でももとに戻りにくいよう施術が可能です。
ただし脂肪を取りすぎると将来的に目の上にくぼみができてしまうことがあるため、信頼できる医師への相談をおすすめします。
メリット:幅広の二重を作りやすい
切開法は切開するラインを自由に調整できるため、幅広の平行二重が作りやすいです。
目頭・目尻切開と組み合わせることが可能なため、埋没法よりも形成できる二重の選択肢が広がります。
末広型の幅広二重にしたい場合は、目頭切開と組み合わせることで幅を広げやすくなります。
平行二重も、幅を広げたい場合には埋没法より切開法が適している場合が多いです。もとの目の状態により個人差があるため、事前に担当医師にしっかりと確認しましょう。
デメリット:ダウンタイムが長くなりやすい
切開法はメスを使った手術のため、手術跡が自然になじむまで3~6ヵ月かかります。
手術後は痛みと強い腫れが発生しますが、1~2週間程で徐々に引いていきます。アイメイクが可能となるのは、手術から5~7日程度で行われる抜糸の後です。
抜糸までは瞼に糸が見えている状態となります。瞼の赤みは抜糸後徐々に落ち着いていき、個人差はありますが、10日前後でほとんど目立たなくなります
内出血により、瞼が赤紫色になることもあるでしょう。ダウンタイムを短くしたい場合は切開範囲を狭くする方法(部分切開)もあります。
一般的な切開(全切開)では瞼の端から端まで切開するため、切開部分は目の横幅の長さ(2~3cm)です。
これに対し、部分切開では瞼の中央部を1.5~2cm程切開します。部分切開は切る範囲が狭くなる分、全切開と比較して効果は少なくなります。
セルフで二重幅を広く見せる方法はある?
美容整形ではなくセルフで二重幅を広く見せる方法として、市販のアイテープ・アイプチ(二重のり)を使う方法があります。
簡単に手に入れられるため、自宅で手軽に二重幅を変えることが可能です。
ただし、アイテープ・アイプチ(二重のり)は使い続けると瞼の皮膚のたるみやかぶれの原因となる場合があります。
二重幅を常に変えていたい方は、美容整形も検討してみてはいかがでしょうか。
二重幅を広げるタイミングがあまり多くない場合は、アイテープ・アイプチを利用するほうが手軽でしょう。
アイテープを使う
アイテープは目元専用のメイク用テープで、二重のラインの位置を矯正できます。
さまざまな色やサイズがあるので、自分に合うものを選んで購入しましょう。乾かす必要がないため手軽に使用できますが、テープをはがす際の刺激などが原因で肌がかぶれる場合があります。
アイプチ(二重のり)を使う
アイプチは瞼の皮膚を接着し二重のラインを好きな位置に作るための、目元用ののりです。
アイプチはイミュ株式会社の登録商標ですが、現在では二重のりの総称として使用されています。
寝ている間に癖付けできるものや、汗や水でよれにくいものなど、各社からさまざまなタイプの二重のりが販売されています。
継続的に使用すると瞼の赤み・痛み・かぶれ・たるみが起きる場合があるため、注意が必要です。瞼は薄く繊細な皮膚のため、皮膚への負担が少ない製品を選ぶよう心がけましょう。
まとめ
二重幅を広げる方法には、美容整形手術を受ける方法と、アイテープ・アイプチなどを使ってセルフで実施する方法の2つがあります。
二重は奥二重・末広二重・平行二重の3タイプがあり、それぞれ見た目の印象が異なります。美容整形により二重幅を広げる方法は埋没法と切開法の2種類です。
埋没法は切らずに糸で皮膚を寄せるためダウンタイムが短く済む一方で、もとに戻ってしまう可能性があることがデメリットです。
切開法はメスで切開して糸で縫合するため、ダウンタイムが長くなります。しかし、もとに戻りにくく実現できる二重のデザインの幅が広がるメリットがあります。
ライフスタイルやもとの瞼の状態を加味したうえで、ご自身に適した方法で二重幅を広げることが大切です。
参考文献