目尻切開・グラマラスラインは、いずれも目尻の施術により目元の印象を変えるための手術です。
今回の記事では、目尻切開とグラマラスラインではどのような違いがあるのか解説するほか、それぞれの特徴・施術方法・注意点も紹介します。
記事の最後では、目尻切開やグラマラスラインがどのような方に向いた手術なのかも解説しますのでどの方法を選べばよいのだろうと迷っている方も参考にしてください。
目尻切開とグラマラスラインの違い
目を大きくしたい・優しい印象のたれ目にしたいと考えている方のなかには、目尻切開とグラマラスラインのどちらを受ければよいのかと悩んでいる方もいるかもしれません。
どちらの施術も目の印象を変えると同時に目を大きく見せる効果も期待できるものですが、2つの方法にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、目尻切開とは名前のとおり、目尻の部分を切開して目の横幅を広げて目を大きく見せる方法です。
一方のグラマラスライン形成では、下瞼を下方へ引っ張るように広げることで目の縦の幅を広げて目を大きく見せる方法となります。
そのため、施術内容を選ぶ際には、輪郭と目のバランスによりどのように目を大きくしたいのかと考えることが1つの目安になります。
また、目尻切開は皮膚の表面側から目尻を切開・縫合する方法です。一方のグラマラスライン形成は主に下瞼の外側から切開・縫合を行うほか、瞼の内側からも縫合を行います。
なお、グラマラスライン形成には切開をともなわず糸で留めるだけの方法・ボトックス（※）注射を使用した方法などもあります。
それぞれの方法のリスクなども比較して、より安心して受けられる方法を選ぶ決め方もあるでしょう。
(※) 未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。
目尻切開の特徴
目尻切開とは、目尻をメスで切開して目の横幅を広げる手術です。切開の種類にはVY法・W法などがあります。
細かい施術方法の違いは、記事後半の目尻切開・グラマラスラインの施術方法は？で解説しますので参考にしてください。
では、ここからは目尻切開で得られる効果を紹介します。目尻切開を受けると、顔の印象はどのように変化するのでしょうか。
目を大きく見せられる
目尻切開を行うと、元の目尻の位置が少し外側にずれることになります。その結果、黒目よりも耳側の白目が見えている範囲が増え、目が大きく見えるのです。
目尻切開は目が小さいことが気になっている方のほか、顔全体に対して目の位置が鼻側に寄っているように感じている方にも選ばれることがある施術方法です。
また、目の横幅が広くなることで相対的に顔の横幅が狭く見えるため小顔効果も期待できます。
切れ長の目を演出できる
目元の印象を左右する要素には、目の大きさだけでなく形があります。上下の幅が広く、ぱっちりと丸型に近い目は、可愛らしい印象につながりやすいとされます。
一方で、大人っぽくクールな印象につながりやすいとされるのが切れ長の目です。
切れ長とは、目全体が細いのではなく、黒目に近い部分には上下の幅もありつつ、目尻部分が耳側に長めに切れ込んでいる形をいいます。
目尻切開は、こうして切れ長の目に近づけたい方に選ばれることが多い手術です。なお、切開の角度などの調整でたれ目・つり目など目尻の印象も調整できます。
グラマラスラインの特徴
グラマラスライン形成には、下眼瞼下制術（かがんけんかせいじゅつ）・下眼瞼拡大術（かがんけんかくだいじゅつ）という別名があります。
グラマラスライン形成は、黒目の下～目尻の下瞼を下げるための施術です。施術方法には、大きく分けて切開法・タッキング法・ボトックス注射の3種類があります。
それぞれの施術内容は、記事後半の目尻切開・グラマラスラインの施術方法は？で触れますので、参考にしてください。
このグラマラスライン形成を受けることで期待できる効果には、下記の3つがあります。
目を大きく見せられる
グラマラスライン形成は下瞼を緩やかに下へ引っ張るような方法なので、施術後は黒目よりも外側の白目部分が頬側に広がります。
この変化により、目の形の印象が変わるだけでなく、目が大きく見えるようになります。
また、目の横幅は変化しないため目は大きくしたいけれど、目尻切開は寄り目がちに見えそうという点が気になる方にはグラマラスライン形成がおすすめです。
たれ目を作る
グラマラスライン形成はたれ目形成と呼ばれることもあり、目の形をたれ目に近づける目的で受ける方も多い施術です。
たれ目は優しい・穏やかといった印象につながりやすく、グラマラスラインの名前からもわかるように女性的な魅力を引き立たせてくれる目の形とされています。
ただし、自然な状態でのたれ目には、上瞼が目尻のほうへ下がっていることによるものがあり、この場合は目が細い印象を持たれる場合もあるでしょう。
一方、グラマラスライン形成は下瞼を下げることでたれ目を作る方法です。そのため、目の大きさも確保しながら優しい印象のたれ目を作ることができます。
可愛らしい印象を演出できる
グラマラスライン形成は下瞼のカーブを変化させるための施術です。そのため、一口に黒目よりも外側の下瞼を下げるといっても、どの位置を下げるかで印象は異なります。
例えば、たれ目を強調しておっとりとグラマーな印象にしたい方は、目尻側を下げるパターンの施術を行います。
一方、ぱっちりと可愛らしい目元を希望する方は、黒目寄り（下瞼の中心）を下げることで、目の形を丸目に近づけながら少したれ目気味の形成も可能です。
同じ方法で目元を変える場合でも、このような微妙な調整により施術後の印象は変わります。
満足度の高いグラマラス形成を受けるためには、事前のカウンセリングで希望する印象・気になっている部分などをしっかりと伝えることが大切です。
目尻切開・グラマラスラインの施術方法は？
同じ方法の治療のなかにも、いくつかの術式があります。また、同じ結果を得るための治療でも切開をともなうもの・切開は不要なものがあります。
ここからは、目尻切開とグラマラスラインについて、どのような方法で施術を行うのか具体的にみていきましょう。
切開法（目尻切開・グラマラスライン）
切開法は、メスなどを使用して組織に切れ込みを入れたり、不要な部分を切除したりする方法です。
切開法のデメリットは、糸を使って縫い縮めたり、ボトックス注射のみを行ったりした場合よりもダウンタイムが長く術後に傷が目立つことが多い点です。
一方、切開法はほかの方法と比較して施術した部分の後戻りが少ないといわれています。
後戻りについて詳しく知りたい方は、記事後半の目尻切開・グラマラスラインの施術の注意点は？を、参考にしてください。
主な目尻切開の術式としては、従来の方法よりも後戻りが少ないとされるVY法・W法などがあります。
なお、VY法・W法は、それぞれ切開の形は異なりますが、いずれも切開した後に目のふちを外側へ引っ張るように縫合します。
そのため、従来の方法（単純切開法）と比較すると施術の効果を実感しやすいといえるでしょう。VY法・W法の違いは、目尻を切開する際の切開創の形状です。
- VY法：目尻に沿ってY字に切開した後、耳側に牽引してV字に縫合する
- W法：目尻をW字に切開＋余計な皮膚を切除して縫合する
一方、グラマラスライン形成での切開法では、下瞼の外側での切開・縫合だけでなく瞼の内側でも結膜の切除・縫合などを行います。
下瞼の外側では、不要な表皮を切除するとともに結膜・眼窩隔膜を切開した後に、糸を使って結膜・腱膜を瞼板に固定します。
瞼の内側への施術に不安を感じる方もいるかもしれませんが、次に紹介するタッキング法・ボトックス注射と比較して後戻りが少ない方法です。
切らない施術（グラマラスライン）
グラマラスライン形成のうち、切開を伴わず結膜の外側にある瞼板から下円蓋部までを糸で留める方法をタッキング法といいます。
瞼の内側で縫合を行うため、切開法と比較して傷跡が目立たない点は大きなメリットです。
ただし、縫合による痛み・腫れなどが数日～1週間ほど続く場合があります。また、瞼内部に糸がある状態になるため、瞬き時に違和感があるでしょう。
ボトックス注射（グラマラスライン）
切開や縫合を伴う施術には抵抗がある・たれ目になった状態を一度確認してみたい方は、ボトックス注射によるグラマラスライン形成をおすすめします。
ボトックスは、ボツリヌス菌と呼ばれる菌が作り出したタンパク質（毒素）を成分とした薬品です。
ボトックスには筋肉の緊張を抑える作用があり、これを目の下にある眼輪筋に注射することで一時的にグラマラスラインが形成されたようなたれ目の状態になります。
また、眼輪筋が適度に弛緩するため笑いジワなど表情により現れるしわの改善にも効果が期待できる治療法です。
なお、効果は3～4ヵ月ほどでなくなるため、一時的にグラマラスラインを体験したいという方以外は定期的に注射を続ける必要があります。施術時間が短く、ダウンタイムが少ないのがボトックス注射のメリットですが、効果が3～4ヵ月でなくなるのはデメリットといえるでしょう。
価格相場は、両目で約8,000円（税込）からとなっています。
目尻切開・グラマラスラインの施術の注意点
理想的な目の形に近づける目尻切開・グラマラスライン形成ですが、施術を受ける前に知っておくべき注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
術後の傷跡・後戻り・仕上がりの3つのポイントから、術後に起こりうるリスクを解説します。
傷跡が目立つことがある
目尻切開・グラマラスライン形成（切開法）では、顔のなかでも人目に触れやすい目の周りに傷ができることになります。
手術自体の内出血・腫れはおおよそ1～2週間でおさまりますが、傷が目立たない状態まで完治するには約半年ほどの期間が必要です。
また、体質によっては肥厚性瘢痕・ケロイドなどになり、傷自体が治っても跡が残る場合があります。
そのため、周囲の人に知られたくない方や傷が治るまでの見た目が気になる方は、治療の方法・時期などを慎重に決める必要があります。
切らない施術の場合元に戻ることがある
今回の記事で紹介したように、グラマラスライン形成には切開をともなう施術とタッキングのような切開を伴わない施術があります。
このように切開を伴わず組織を牽引するような施術では、時間の経過とともに施術箇所が徐々に後戻りすることがあるため注意が必要です。
後戻りとは、組織が元に戻ろうとする力によって、施術した部分が以前の形状に戻ってしまうことです。
このようなリスクを踏まえて、施術内容を決める際は手軽さ・価格だけでなく効果が得られる期間もしっかりと説明を受けることをおすすめします。
希望する仕上がりにならないことがある
施術の前には、多くのクリニックで丁寧なカウンセリング・施術説明があります。そのなかで、本人の顔全体のバランス・希望などを踏まえて施術の計画を立てます。
しかし、髪を切ったりメイクをしたりする場合とは異なり、途中で手を止めて、本人が完成した状態を確認しながら作業を進められるわけではありません。
そのため、施術を終えて確認した際に希望する仕上がりになっていないと感じる可能性があります。
また希望と異なるわけではないが思っていたよりも効果が実感できないと感じる方もいるかもしれません。
なお、施術直後には内出血・腫れなどにより効果が分かりにくいことも希望と違うと感じる原因の1つです。
この場合は、傷が目立たなくなるにつれて当初希望した目の形に近づく場合もあるでしょう。
そのため、すぐに施術し直したいと考える方もいるかもしれませんが、傷の状態が落ち着いたタイミングでの再検討が望ましいでしょう。
目尻切開・グラマラスラインがおすすめの人は？
今回の記事でも、各施術ごとに期待できる効果をいくつか紹介しました。これらも踏まえて、目尻切開・グラマラスライン形成といった施術はどのような方におすすめなのかを紹介します。
目尻切開がおすすめの人
目尻切開は、目を大きく見せるとともに目尻の印象を変えたい方に向いた治療です。
目を目尻側に切れ込んだ形にするため、下記のような方が目尻切開を受けると顔全体のバランスに対する満足度が上がることが予想されます。
- 目の幅が狭いと感じている方
- やや耳側寄り（外斜視）の黒目が気になる方
- 顔全体に対して目が中心寄りにあると感じている方
また、切れ長の目にして大人っぽくクールな印象を強調したい方のほか、目尻を牽引することでつり目・たれ目を治したい方にもおすすめの治療です。
グラマラスラインがおすすめの人
目尻切開でも目を大きく見せられる可能性はありますが、元の目の形によっては目が大きくなった実感を得にくい場合があります。
これに対して、グラマラスライン形成では下瞼を牽引して目の形を変えるだけでなく、縦方向に目を広げます。
そのため目が細いことに悩んでいる方は効果が実感しやすい治療といえるでしょう。
また、下瞼の広い範囲に施術を行うため、同じ術式でも縫合する箇所を変えることで最終的な印象を変えることが可能です。
このような特徴から、女性的な優しいたれ目を希望する方だけでなく、ぱっちりとした可愛らしい形の目を目指したい方にも選択される治療法です。
まとめ
目尻切開とグラマラスライン形成は、いずれも目の形を変えることにより印象を変化させると同時に、目を大きく見せる効果も期待できる治療法です。
しかし、目の形が変わる部位・方向などには違いがあり、またグラマラスライン形成では切開を伴わない方法の選択もできます。
今回の記事も参考にしながら効果・リスクをしっかりと理解することが、理想に近づくためによい方法はどれなのか考える一助になるでしょう。
参考文献
電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。