ヒアルロン酸注射は医療用に配合されたヒアルロン酸製剤を注入することで、しわやたるみを改善できる手軽な治療法として、初めての美容治療に選ぶ人も多い美容整形の一つです。しかし手軽な一方で、ヒアルロン酸を打つことによるデメリットや健康面への副作用などが気になります。ここでは、ヒアルロン酸注射のデメリットや副作用について、さらにヒアルロン酸注射で失敗しないために気をつけるポイントや信頼できるクリニック選びについてまとめました。
ヒアルロン酸の注射におけるデメリットについて
ヒアルロン酸注射は手軽な治療法として知名度も高く比較的身近な治療法です。ここではヒアルロン酸注射がどのような治療なのか、効果はどのくらいの期間続くのか、またデメリットや失敗例などはあるのか解説します。
- ヒアルロン酸注射とはどのような治療ですか?
- ヒアルロン酸注射は医療用のヒアルロン酸製剤を注入することにより肌のハリやしわを改善してくれる治療法です。 ヒアルロン酸はもともと人の体の中で生成されるゼリー状の物質で、ヒアルロン酸1gで6リットルもの水を保持できる高い保水力があります。この保水力によって肌のハリや弾力を保つ作用がありますが、加齢や紫外線の影響によって徐々に減少していきます。20歳のときを100%とすると30歳では65%になり、50歳では45%、60歳では25%しか生成されません。ヒアルロン酸が減少することにより、しわやたるみが目立つようになってきます。
ヒアルロン酸注射をすると肌の水分量が増えみずみずしい状態になり、しわやたるみなどが目立たなくなります。これはヒアルロン酸が皮膚を持ち上げ皮膚表面がピンと張った状態に戻り、肌をボリュームアップさせハリや弾力の改善につながるからです。
- ヒアルロン酸注射には、どのような効果がどのくらいの期間、期待されますか?
- ヒアルロン酸注射にはハリや弾力を出す効果や、肌のボリュームアップが期待できます。
<ヒアルロン酸注射によって期待できる主な症状>
- たるみやしわの改善
- 肌のハリや弾力の改善
- 唇のボリュームアップ
- 丸みのあるおでこにする
これらの症状の他に、膝や肩の痛みを和らげる治療として整形外科でも使用されます。
ヒアルロン酸注射の効果が続く期間は平均で半年~1年間くらいで、早ければ3カ月ほどで体内に吸収され消失してしまいます。症状に合わせて適切な量のヒアルロン酸注射を打つことによって効果が長持ちするので、カウンセリング時にしっかり相談しましょう。
- ヒアルロン酸注射にはどのようなデメリットや失敗例がありますか?
- ヒアルロン酸注射では適切な量を適切な箇所に打てば即効性のある治療法です。しかし技術不足の医師から治療を受けたり注入量を誤ったりすると、思わぬデメリットが生じてしまい期待したような効果が得られないケースがあります。
<ヒアルロン酸注射の主なデメリットや失敗例>- 仕上がりが左右非対称でアンバランスになる
- 表情が不自然に見える可能性がある
食事の噛みグセや就寝時のゆがみにより多くの人の顔は左右対称ではありません。そのため顔のバランスを考えずに左右同量のヒアルロン酸注射をすると、仕上がりがアンバランスに見えるケースがあります。治療したい症状と顔のバランスを考えて注入量を決める必要があるので、経験の浅い技術不足の医師が判断を誤ってしまった場合、適切な量が注入されず見た目がアンバランスになります。
また顔の一部分が膨れたような不自然な仕上がりになるケースもあり、整形したようないわゆる「ヒアル顔」といわれる顔になる可能性があります。不自然な仕上がりが気になる場合はクリニックに相談してみましょう。
ヒアルロン酸の注射の副作用とリスクについて
ヒアルロン酸注射は安全性の高い治療法ですが、全く副作用がないわけではありません。ここではヒアルロン酸注射を打ち続けても問題はないのか、健康面においてどのような副作用があるのか、また美容面においてのリスクについて解説します。
- ヒアルロン酸注射は打ち続けても問題ありませんか?
- ヒアルロン酸はもともと人の体に存在する物質であり、時間の経過とともに体内に吸収されてしまうのでヒアルロン酸注射を打ち続けても問題はありません。適切な量を適切な間隔で打てば継続して受けられる治療です。繰り返し治療を受けることでヒアルロン酸の吸収が遅くなり効果が長持ちするともいわれています。
ただし治療のペースを速めたり大量に打ったりした場合は副作用が起こる可能性がありますので、医師と相談して自分にあったペースで治療しましょう。
- ヒアルロン酸注射には、健康面においてどのような副作用がありますか?
- 健康面においての副作用としては内出血や腫れ、アレルギーなどが起こる可能性があります。
<内出血>
注射を用いて治療を行うので治療跡が内出血になることがありますが、数日のうちに治まっていきます。内出血は皮膚の薄い箇所や多くの毛細血管がある箇所に注射を打つと起こりやすいので、目の周りやほうれい線などへの治療を受ける場合は、症状が現れやすいことを知っておきましょう。<腫れ>
腫れが起こることもありますが内出血と同じように数日で治まります。まれなケースとして2週間以上経っても腫れが引かない場合は、アレルギー反応の可能性がありますので医師の診察を受けましょう。<アレルギー>
ヒアルロン酸はもともと人の体内で生成されるのでアレルギー症状が出ることはまれですが、極端に免疫力が下がっている方や糖尿病を患っていると起こりやすいようです。アレルギー症状には抗生物質を投与することで対処できますので、かゆみやじんましんなどの違和感があればすぐに受診してください。
また非常にまれなケースですが血管閉塞や感染症などの副作用が起こる可能性があります。<血管閉塞>
誤って血管内にヒアルロン酸が注入されると血管が塞がれ血流障害が起こり、皮膚が壊死したり失明したりするおそれがあります。血流障害が起こるとニキビのような湿疹や水疱ができたり、真っ黒なかさぶたができたりと明らかな異常が見られます。<感染症>
何らかの病気で免疫力が低下している方や重度の糖尿病、また化膿(のう)したニキビが顔に多数ある方などはヒアルロン酸を注入した際に「バイオフィルム」と呼ばれる菌膜ができ感染症を起こしてしまいます。
これらの副作用が起こってもヒアルロン酸溶解注射での治療や抗生物質の投与によって対処が可能ですので、クリニックを受診し適切な治療を受けましょう。
- ヒアルロン酸注射には、美容面においてどのようなリスクがありますか?
- 美容面においてのリスクとしては、注入頻度が増えると筋肉の可動性が低下し表情を作りにくくするおそれがあります。またヒアルロン酸を入れてない部位との差が大きくなってしまい、施術していない箇所が目立つこともあるので適切な量を打つようにしなければいけません。
その他に肌のうえから注入したヒアルロン酸が透けて青っぽく見える「チンダル現象」が起こることがあります。これは注入箇所が浅かったことで起こる症状ですが、ダウンタイムとは異なり一度できてしまうと時間をかけても元には戻りません。気になるようであればヒアルロン酸溶解注射によって解消できるのでクリニックに相談してみてください。
ヒアルロン酸の注射で失敗しないためのポイント
ヒアルロン酸注射は手軽な治療法ではありますが、注入量や注入箇所などに細かく気をつけなければいけません。ヒアルロン酸注射で失敗しないためのポイントや信頼できるクリニック選びについてまとめたので参考にしてください。
- ヒアルロン酸注射で失敗しないためのポイントを教えてください。
- ヒアルロン酸注射で失敗しないためには次の3点に気をつけてください。
<失敗しないためのポイント>
- 複数のクリニックでカウンセリングを受ける
- 手術歴や持病、体質について事前に伝える
- アフターフォロー対応を確認する
まずはカウンセリングを入念に行いましょう。カウンセリング時に気になることがあれば積極的に確認し、できれば複数のクリニックでカウンセリングを受けることをお勧めします。自分が納得できるまでカウンセリングを行うことがポイントです。
次に手術歴や持病、また体質については事前に伝えておきましょう。特に手術経験があると塞栓のリスクが高まるので注意が必要です。また糖尿病などの持病がある場合には副作用のリスクもあるので医師に相談しておきましょう。
施術後にトラブルが起きないことが一番ですが、もし副作用などが起きた場合にどういったアフターフォローが受けられるのか確認しておきましょう。「ヒアルロン酸溶解注射は受けられるのか」「アレルギー反応が出た際に抗生剤の投与は受けられるのか」などを聞いておくと安心です。
- 信頼できるクリニックを選ぶためのポイントを教えてください。
- 信頼できるクリニックを選ぶポイントは次の4点です。
<信頼できるクリニックを選ぶポイント>
- 要望を聞いたうえで治療法を提案してくれるか
- 実績が豊富か
- 日本形成外科学会や日本美容外科学会に所属しているか
- アラガンジャパン注入指導医を所有しているか
ヒアルロン酸注射は医療行為です。リスクをゼロにすることは難しいため、要望を聞いたうえで治療法を提案してくれ、さらに副作用や日常生活への影響まで説明してくれるクリニックを選びましょう。
また実績豊富な医師かどうかは症例数や症例写真で判断できます。クリニックの公式サイトやSNSでチェックしておきましょう。また日本形成外科学会や日本美容外科学会に所属しているかどうかもポイントになります。
編集部まとめ
ヒアルロン酸注射のデメリットや副作用、リスクを防ぐ方法について解説しました。ヒアルロン酸注射は手軽な美容医療ですが、施術を行う医師の技術やヒアルロン酸製剤の品質、注入量などによって失敗や副作用につながる可能性があります。カウンセリングにしっかり時間を費やした説明や要望を確認があり、こちらの目的に応じたヒアルロン酸製剤の使用を提案してくれる医師やクリニックを選ぶようにしましょう。
参考文献