「陰核包皮が腫れている気がする。違和感や、何だか痒みもある…。」 日常場面であまり目にすることのない陰核包皮ですが、一度違和感をおぼえてしまうと敏感なところなだけに非常に気になるかと思います。
陰核包皮は小陰唇が重なるところです。皮膚が複雑に重なっているために汚れが溜まりやすく、デリケートゾーンの中でも特に敏感で、下着による摩擦でもただれて腫れてしまうことがあります。しかしそれだけではなく、他にも腫れてしまう原因がいくつかあるのです。
この記事では、陰核包皮の腫れを放置するとどうなるのか、原因や受診目安などについてもお話ししていきます。
陰核包皮の腫れの原因とは
- 陰核包皮の腫れの原因は何ですか
- 原因として考えられるのは、浮腫・感染・腫瘍性病変・先天性・小陰唇の肥大です。
中には、性的興奮や血流が貯まることでも陰核周辺が赤くなりぷっくりと膨れることがありますので、腫れているのかと感じる方もいます。感染の要因として、陰核周囲には多くの皮膚が重なり合うため、恥垢(ちこう)と呼ばれる汚れがたまりやすく、これが長期間溜まると感染症の原因になることがあります。腫瘍性病変や先天性疾患としては、悪性・良性とあるため、専門の医師による診断が必要です。
小陰唇が肥大すると、小陰唇と陰核は皮膚が繋がっていることから、陰核周囲も腫れているように感じることがあります。
- 腫れることにより生活にどのような支障が出ますか
- 前述したように陰核周囲はとてもデリケートで、男性と比べても皮膚が重なり合う部分が多く、複雑な構造になっています。
その部分が腫れてしまうと、日常生活内で違和感を頻繁に感じたり、下着や衣類と擦れて痒みやかぶれの要因となってしまったりする場合があるのです。また男性のように陰茎がない分、排尿時にも汚染されやすくなります。洗浄をしっかり行えなければ恥垢も溜まり、他の症状や病気のリスクも上がりやすいなど、問題点は様々です。陰核部分は女性の性感帯でもあるので、腫れていると性交渉時に十分な快楽が得られなかったり、痛みがあったりと新たな悩みの要因となることがあります。
中にはパートナーに指摘され、精神的に悩んでしまう…という方もいます。通常の日常生活のみならず、人間関係にも影響を与えてしまった、という方もいるので注意が必要です。
- 腫れることにより他の病気も引き起こすことがありますか
- 過剰な洗浄や排泄時に汚染されるなどの要因から、衛生面を保てず腫れることで、炎症や感染症を引き起こす場合があります。それらの主な症状としては、おりものが増える・陰部周囲が赤くなる・腫れがさらに酷くなった・痒みが出る・異臭がするなどです。症状は個人によって様々であり、その時の免疫状態によっても変化します。
炎症や感染症以外でも、腫れてしまったことが要因となり下着や衣類に擦れ皮膚が荒れたり痒くなったり、さらには発赤が出たりする方もいます。
陰核包皮の腫れによる受診目安は
- 受診目安となる症状は他にどのようなものがありますか?
- 具体的な受診目安の症状は以下になります。
- 腫れが酷くなっている
- おりものが増え、色が変わってきた
- 痒みが悪化している
- 陰核周囲の色が変わってきた
- 痛みがある
- 異臭がする
以上の症状が複数見られる場合、他の病気への要因ともなりうるため、専門の医師の診察を受けることをおすすめします。
しかし上記のような目立った症状がなくとも、陰核とその周囲は非常にデリケートな部分なため、気になる症状がある場合はぜひ相談してください。
- 治療方法は何がありますか。
- 陰核包皮が腫れてしまう原因として、感染・先天性・何らかの疾患・小陰唇の肥大を挙げました。
治療としてはそれらに対する対症療法がまず提案されます。感染の要因となりやすい不衛生が原因であると考えられる場合は、もう一度洗浄方法を確認してください。膣の周囲には膣の水潤や衛生面を保つための器官や常在菌がいますが、それらの機能が失われる・バランスが崩れるなどで容易に症状が悪化する可能性があります。
例え石鹸で洗浄していたとしても、その洗浄力が高すぎれば症状を出してしまう要因となりますので注意が必要です。先天性や何らかの疾患、小陰唇の肥大による場合は専門の医師による診断の下、様々な治療を提案されるでしょう。
主な治療方法としては手術による切除があります。近年では研究や美容意識も進み、陰核包皮の腫れに対して経験と知識が豊富な専門の医師が、自然な形になるようにご提案する医院も多く見られます。
- 何科を受診すればよいですか
- 症状のある方は、まずは婦人科を受診することが多いです。問診や既往歴等も踏まえて、陰核包皮が腫れてしまったこと自体の原因を精査します。
その原因によりその後の治療は様々ですが、もし陰核包皮を切除する場合は、主な手術はほとんど婦人科または美容形成科の医師が担当するでしょう。近年では病気と診断された場合でなくとも、恥垢が溜まる・快感が得られにくい・触ると痛みがある・形が気になるなどの理由から手術を受けるという方もいらっしゃいます。その場合は美容形成科を受診してください。
- 治療を行うメリット・デメリットを教えてください
- メリットとしては以下です。
- 感染症の予防ができる
- 異臭の改善
- 衛生面の改善
- 違和感や痛みの軽減
- 外見的な改善
デメリットとしては、以下が挙げられます。
- 術後の副作用としてしばらく腫れや内出血が続くことがある
- 細菌やウイルス感染のリスクがある
- 自費診療になりますか。
- 病院の治療方針によって様々ではありますが、具体的な病名が付かない場合、または美容的要素がある場合は自費診療になることが多いです。
陰核包皮の腫れの予防改善
- 日常でできる陰核包皮の腫れの予防改善は何がありますか
- 腫れてしまう原因によって、予防改善の方法は変わっていきます。原因が感染や不衛生であると考えられる場合は、陰核部分とその周囲の洗浄方法を再度検討してみてください。恥垢は溜まると石のように硬くなり、匂いの原因や細菌感染もしやすくなるため腫れの要因になります。
とはいえ洗浄力の高すぎるものは、逆に必要な常在菌まで洗い流してしまい、バリア機能を失う要因となることもあります。そのため洗浄する際はボディーソープなどで何度も洗い流さず、摩擦などの強い刺激も避け、優しく洗い拭き取るように心がけてください。
それでも腫れが収まらない・悪化していると感じる場合は、一度専門の医師に相談してください。実は先天性のものだった・何らかの疾患の徴候だった・アレルギーが起因していたという場合もあります。
- 食生活や生活習慣の改善でも予防はできますか
- 生活習慣の改善は、予防に大いに関連があると考えられます。陰核周囲は体の中でも非常にデリケートな場所になります。目にも届きにくいため、毎日洗っていても汚染されやすいのです。
その逆も然りで、洗浄のしすぎや過剰なケアによってもそれが強い刺激となってしまい、本来のバリア機能が失われて症状が出てしまうこともあります。
自分でできる予防方法や注意点としては以下です。- 適度なケアを行う
- 強い洗浄は行わない
- 不衛生な自慰行為に注意する
- 陰毛の処理は適切に行う
- 体にあった下着を使用する
- おりものシートやナプキンによるかぶれに注意する
- 摩擦や締め付けの強い衣類による強い刺激は与えない
適度なケアとしては、陰核周囲には湿潤を保つための常在菌が存在しています。過剰に洗浄してしまうとその常在菌までも洗い流してしまうことになりますので、自浄できなくなり、衛生面の低下に繋がります。強い洗浄剤の使用も同様です。殺菌作用が強すぎるボディソープなどでは、常在菌を死滅させてしまいます。
また石鹸などは意図せずに擦りすぎて摩擦を生みやすくなるために、肌に不必要な刺激を与えてしまうのです。自慰行為の際も見落としがちですが、直接肌に接触する可能性のあるラブグッズや手指の衛生面を保つようにしてください。
食生活に関しては、現在では明確な研究結果が出ていませんが、赤身肉やコレステロールが要因となりやすいという報告があります。
編集部まとめ
陰核包皮が腫れてしまう原因・治療方法・予防改善についてお話ししてきましたがいかがでしたか。
陰核周囲は自分の目に入りづらく、症状が出てからやパートナーに指摘されて初めて気づいたという方も多くいらっしゃいます。この部分は女性の性感帯であり、なかなか人に相談できずに悩んでしまう…という方も中にはいるでしょう。
しかし陰核包皮の腫れは、間違った洗浄や生活習慣によって、誰でも起こりうるものなのです。また気をつけていても一向に症状が改善しないという場合は、実は先天性だった・他の病気だったという可能性もあります。少しでも不安がある場合には、専門の医師にぜひ相談してください。
参考文献