胸を大きくする方法の1つにシリコンバッグ豊胸手術があります。「シリコンを入れた」などと芸能人が言っているのを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。では、シリコンバック豊胸手術とはどのようなものなのでしょうか。
本記事では、手術の内容やメリット・デメリット、どのような人に適しているのかなどを詳しくご紹介していきます。「豊胸手術に興味があるけどどのような方法が自分に合っているかわからない」「小さな胸がコンプレックスでどうにかしたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
シリコンバッグを使った豊胸手術とは
豊胸手術には、シリコンバッグ豊胸手術のほか、ヒアルロン酸豊胸術や脂肪注入豊胸手術があります。それぞれに良さがあるのですが、今回はシリコンバッグ豊胸手術がどのような施術なのか、手術にかかる時間や費用はどのくらいなのかなどを詳しくご説明します。
シリコンバッグによる豊胸手術の概要
シリコンバッグ豊胸手術は、脇や胸の下などを切開してシリコン製のバッグを挿入し、バストを大きくする治療です。前述したとおり、バストのサイズアップにはヒアルロン酸を注入する豊胸術もありますが、それよりも効果を得たいという方に適しています。手術時の痛みや恐怖心を和らげられるよう全身麻酔を施してから行うのが一般的です。医療機関によって差はありますが、手術にかかる時間は1~3時間ほどとなっています。
シリコンバッグによる豊胸手術の費用相場
手術を受ける医療機関や使用するシリコンバッグなどによって費用は異なりますが、100万円前後が相場となっています。また、別途診察料や手術前に行う血液検査・心電図・レントゲンなどの検査費用、麻酔費、入院費などがかかる場合があります。決して安い金額ではないため、ご自身が希望する手術はどれくらいの費用が想定されるか、カウンセリングなどで事前に医師に確認しておきましょう。
シリコンバッグを使った豊胸手術がおすすめな人
さまざまな豊胸手術がある中でシリコンバッグ豊胸手術が適しているのは、何回も手術を受けたくないと考えている方です。この手術では、1回の施術で希望に近いバストを作ることができます。他の豊胸術では、バストを理想のサイズまで大きくしたり術後のサイズを維持したりするために、定期的に施術を受け続けなければなりません。「定期的に通うのが面倒」「手術を1回で済ませたい」という方にはシリコンバッグ豊胸手術がおすすめです。
また、胸を2サイズ以上大きくしたいという方にも向いています。シリコンバッグ豊胸手術は一気に2~3カップほどバストを大きくできるため、シルエットが目に見えて変わり、女性らしさを手に入れることができるでしょう。「谷間が欲しい」「バスト全体をふっくらさせたい」という方にもぴったりの方法です。
さらに、加齢による変化を防ぎたい方にも提案されるケースが多くなっています。加齢によって乳房は小さくなったり、クーパー靱帯が伸びて垂れ下がってしまったりするため、ハリや弾力を保つには入念なケアが必要になります。そんなときにシリコンバッグ豊胸手術を行えば、施術直後のハリのあるきれいな形をキープすることができます。
シリコンバッグで豊胸するメリットとデメリット
ここからはシリコンバッグ豊胸手術におけるメリットとデメリットをご紹介します。良い面と悪い面、どちらも理解しておくことで、治療を選ぶ際の判断基準となるでしょう。
シリコンバッグで豊胸するメリット
シリコンバッグを用いて豊胸することにはさまざまなメリットがあります。まず、胸の形や大きさを自由に選べることです。シリコンバッグには多種多様な形があるため、ただ大きくするだけでなく自分のなりたいバストに近づけることができます。
また、持続性があることも大きなメリットと言えます。シリコンバッグは体内に吸収されることがありません。そのため、時間がたつにつれて形や大きさが変化することはなく、バストの状態を維持することができます。
さらに、シリコンバッグは乳腺組織の感触に似ているため、自然な仕上がりが期待できますし、1回の施術で2~3カップ以上のバストアップができるのも特徴です。もし、手術を受けた後のバストの形やサイズに納得がいかない場合は、元の胸のサイズに戻したり違う種類のシリコンバッグに入れ替えたりすることもできます。中には、「年齢に合った胸の形に戻したい」と、過去に挿入したシリコンバッグを抜いてしまう方もいらっしゃいます。
シリコンで豊胸するデメリット
魅力の多いシリコンバッグ豊胸手術ですが、もちろんデメリットもあります。例えば、まれなケースではありますが、シリコンバッグの石灰化が起きてしまう可能性があります。石灰化が起きると、乳房が硬くなったり乳房の大きさに左右差や段差ができてしまったりします。
また、医師の技術不足によって不自然な仕上がりになったり、シリコンバッグがずれてしまったりするケースも全くないとは言い切れないのが現実です。
豊胸手術自体のコストが高く、経済的負担になってしまうのもデメリットと言えるでしょう。
さらに、手術であるがゆえに、内出血が起きたり、感染症を引き起こしてしまったりするリスクがありますし、術後に、乳頭の知覚過敏または知覚低下が起こったりすることもあります。シリコンバッグが劣化して胸の中で破裂してしまうというリスクも0ではありません。なお、非常にまれではありますが、乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫 (BIA-ALCL)という癌を発症するリスクがあります。
このようなデメリット・リスクが起きないようにするためには、医療機関・医師選びがとても重要です。事前にしっかりとカウンセリングを受け、納得のいく施術をしてもらえるかどうかをきちんと検討しましょう。さらに、乳がん検診の妨げになってしまうこともあります。超音波画像診断装置によるエコー検査は問題ありませんが、マンモグラフィー検査はシリコンバッグが破裂してしまうリスクがあるため推奨できません。
シリコンバッグの種類
シリコンバッグにもさまざまな種類があります。表面の質感や形状が異なるのはもちろん、それぞれメリット・デメリットが異なります。それでは一緒に見ていきましょう。
表面の質感による違い
シリコンバッグには、表面がなめらかな質感のスムースタイプと、ざらざらとした質感のテクスチャータイプがあります。それぞれメリット・デメリットがあるためご紹介します。
スムースタイプのものは、皮膚の切開が小さくても挿入できます。ただ、挿入したシリコンバッグの周りにできる被膜が収縮して硬くなる「被膜拘縮」を起こしやすいため、術後は入念なマッサージを行う必要があります。
一方、テクスチャータイプは、被膜拘縮は起こりにくいですが、皮膚を大きく切る必要があるため、傷跡が目立ってしまう場合があるのがデメリットです。近年では、テクスチャータイプが主流になってきています。
形状による違い
形としては、きれいな円形状のラウンドタイプと涙のような形をしたアナトミカルタイプがあります。
ラウンドタイプは、シリコンバッグそのものが丸みを帯びているため、もともとバストが小さい方でもしっかりとボリュームを出すことができます。また、あおむけに寝ても形をキープできます。ただ、痩せ型の人だとバッグの輪郭が強調されてしまうこともあります。
アナトミカルタイプは、もともとバストにボリュームがある方に適しています。立位姿勢だと自然な見た目をキープできますが、横になると不自然な形状になってしまうことがデメリットと言えます。また、バストの下部にボリュームが出るため、垂れているように見えてしまうことがあります。なりたいバストの形に合うようなものを選択することをおすすめします。
シリコンバッグで豊胸する方法
乳房は、皮膚に近いところから乳腺・大胸筋膜・大胸筋・小胸筋という並びの構造になっています。この中で、シリコンバッグを挿入できる部位は、乳腺下、大胸筋下、大胸筋膜下の3カ所です。手術を受ける方のご希望や体格、体質に適した部位を選択することが大切です。また、医師の診断によっては、左右のバストで挿入部位が変わることもあります。
乳腺下法
乳腺と大胸筋膜の間にシリコンバッグを挿入する方法です。シリコンバッグの動きややわらかさがよく出るのが特徴で、バストにもともとボリュームがある方、谷間を作りたい方、バストが下垂している方に適しています。この方法はシリコンバッグを挿入する際に大胸筋や筋膜を剥がす必要がないため、術後の痛みが少なく抑えられています。
大胸筋下法
大胸筋と小胸筋の間にシリコンバッグを挿入する方法です。大胸筋は他の筋肉よりも分厚いため、バストに触れた際にシリコンバッグの感触がわかりにくいのが特徴です。また、なだらかで自然な仕上がりになります。この方法は、乳腺や皮下脂肪が少ない方、大幅なボリュームアップをする方、バストのボリュームが少ない方に適しています。なお、大胸筋を剥がしてシリコンバッグを挿入するため、乳腺下法に比べて痛みや腫れが強い傾向にあります。
大胸筋膜下法
これは大胸筋を包んでいる筋膜の下にシリコンバッグを挿入する方法で、筋肉収縮によるバストの変形を起こしにくいのが特徴です。バストが下垂気味の方に用いることが多いとされています。手術の際には筋膜を剥がすため、ダウンタイムが長引いてしまうのがデメリットです。
シリコンバッグで豊胸した後の注意点とアフターケア
最後に、シリコンバッグ豊胸手術を受けた後に気を付けるべきことや、アフターケアについてご説明します。術後に問題が起きないようにするため、問題が起きてしまったときに適切に対応できるようにするためにもしっかりと理解しておきましょう。
シリコンバッグで豊胸した後の注意点
施術内容による違いや個人差はありますが、術後1~3週間は内出血や痛みを感じます。また、だるさや熱感・頭痛・じんましん・かゆみ・むくみ・発熱、傷跡の盛り上がり・へこみ・色素沈着、皮膚の色素沈着、施術部位の知覚のまひ・鈍さ、しびれなどを生じることがあります。そのため、体に負担がかかる力仕事やスポーツは避けるようにしましょう。
また、どのような手術でも細菌感染(化膿)が起きないとは言い切れません。痛み止め・化膿止めを処方してくれる医療機関がありますので、困ったときは早めに医師に相談するようにしましょう。術後の入浴については1週間後、または抜糸を終えた後から可能になります。シャワーは手術日の翌日から入ることができますが、傷口をぬらしたり強くこすったりすることがないよう細心の注意を払うことが大切です。
シリコンバッグで豊胸した後のアフターケア
シリコンバッグを挿入するために切開した場所は傷跡となり、術後しばらくは赤く硬くなります。傷跡がどれくらいきれいになるかは個人差がありますが、3カ月ほどで状態は落ち着いていき、半年から1年ほどたてばほとんど目立たなくなります。
なお、シリコンバッグ豊胸手術を受けた後は、定期的に診察や検査を受けるようにしましょう。採血や超音波画像診断装置などの検査機器を用いて、バストの美容面に変化はないか、健康や機能は保たれているか、挿入したシリコンバッグに問題がないか、乳房インプラント関連未分化大細胞リンパ腫 (BIA-ALCL)は大丈夫かなどを入念にチェックすることが大切です。また、シリコンバッグに異常が見つかった場合は、交換をしなければなりません。シリコンバッグは約10年が交換の目安とされていますが、強い揺れや衝撃によって破損してしまうことがありますし、体重の変化によって輪郭が見えてきてしまうケースも少なくありません。こまめに状態を確認し、きれいなバストを維持していただければ幸いです。
まとめ
シリコンバッグを使った豊胸手術について、知識を深めることはできたでしたでしょうか?シリコンバッグは種類が豊富で手術方法も複数あります。それぞれの良い面・悪い面を理解し、ご自身の希望や予算、なりたいバストサイズ・形に合った組み合わせを見つけていただければと思います。
また、自分が受けたいと思った施術が受けられる医療機関を見つけることも大切です。「安いから」「家から近いから」と言った理由で決めてしまうのではなく、複数の医療機関を比較して、じっくりと検討したうえで施術を受けるようにしましょう。
参考文献