近年、ヒアルロン酸をおでこやこめかみに注入する施術が注目を集めています。
これによってハリのあるみずみずしい肌を手に入れることができ、おでこが広く見えたり卵型のやわらかな輪郭へ近づけられたりできるとあって、医院などで施術をする方が増えています。
ヒアルロン酸は体内に含まれているものであり、安全性の高い施術方法・効果の持続期間はどうなっているのでしょうか。
これらについて詳しくまとめましたので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
ヒアルロン酸をこめかみに注入すると得られる効果
- ヒアルロン酸をこめかみに注入すると得られる効果を教えてください。
- こめかみにヒアルロン酸を注入することで、この凹みやしわを解消し、卵型の女性らしい輪郭へと変わります。
また、ヒアルロン酸はもともと体内に存在しており、親和性の高さも注目を集める一因です。治療にかかる時間も短時間で済むことが多く、痛みも少ないため、忙しい方でも気軽に施術を受けることができます。
そもそもこめかみとは、目尻と耳の付け根の中間付近にある凹み部分を指します。こめかみには皮膚のすぐ下に食べ物を咀嚼する際に使われる側頭筋という筋肉があり、こめかみを触りながら歯を食いしばると筋張る部位が側頭筋です。
側頭筋は加齢とともに衰えてしまうものであり、くぼみが目立つ結果、凹んでいるように見えてしまいます。
また、顔に限らず全身の皮膚は老化の影響を受けます。老化によって肌のハリがなくなり、しわによってより凹んで見えるという点にも注意が必要です。
その他、ヒアルロン酸注入によるメリットは、気に入らなければ溶かしてなくせる点にもあります。誰しも好みの施術後のイメージがあるでしょう。施術後、もし気に入らなければヒアルロン酸溶解注射をすることで分解させられます。
プロテーゼやシリコンを使った手術方法ではなかなか取り出しにくい欠点を、補っている施術方法といえます。
- こめかみへのヒアルロン酸注入を行ったほうがよい目安を教えてください。
- 加齢とともに皮膚が薄くなってこめかみの凹みが目立ってきた方は、一度医師にご相談ください。
ほかにも、凹みが顕著でなくとも全体の顔のバランスからこめかみへのヒアルロン酸注入が卵型への輪郭形成に必要なこともあります。
不必要に注入することは避けるべきですが、このあたりも気になるようなら医師に相談してみてはいかがでしょうか。
- ヒアルロン酸注入の効果はどのくらい持続するといわれていますか?
- 一般的に半年〜2年程度といわれており、個人差があります。一度注入すれば半永久的に凹みが解消されるわけではなく、効果がなくなるたびに継続的に注入し続けなければなりません。
なお、やわらかいヒアルロン酸程効果が短く、硬いもの程効果が長いといわれています。
また注入量が多い程持続時間は長くなりますが、仕上がりが不自然になっては元も子もありません。一回の施術量は適量に抑え、長期にわたって継続的に注入することが望ましいでしょう。
このほか、個人差はあるものの注入を何度か繰り返すうちに、体になじんで効果時間が長くなることもあり、その場合は施術費用も抑えられることになるでしょう。
ほかにも、施術痕が永久に残ることもないため、この点でも安心できます。
- 注入するヒアルロン酸はどのようなものが使われているのでしょうか?
- 代表的なものとして、皮膚充填剤フィラーがあります。こちらを真皮層から皮下深層に注入し、しわや凹みの改善を促します。
ほかにもサノフィ株式会社の製造するサイディスクビスポが有名です。一般名をヒアルロン酸ナトリウム架橋処理ポリマーといいます。
ヒアルロン酸の注入そのものは国内でも年間約12万件(2018年時点)行われており、すでに一般的な施術といえます。
ヒアルロン酸をこめかみに注入する際のダウンタイムについて
- こめかみへのヒアルロン酸注入のダウンタイムはどのくらいですか?
- ほかのシリコン注入などの施術方法と違って手術を伴うことがなく、ダウンタイムは短いため、安心して施術を受けることができるでしょう。
ただし、まれに赤みや腫れ、かゆみ、内出血を伴うこともあります。症状は一週間程度で落ち着くことが多いですが、人によっては少々長引くこともあるかもしれません。個人差もあるため、気になる方は医師へ相談してみてください。
また施術後は部位がぼこぼことしていることもあります。これはヒアルロン酸がなじむまでに現れる症状の一つであり、短期間で収まるなら注意は不要です。長引く場合は施術が失敗している可能性もあるため、医師へ相談してみましょう。
またダウンタイム中に施術部分を触らず、マッサージなどもしないように注意しましょう。施術後の仕上がり具合が気になるかもしれませんが、無理に触ると施術部位が損傷して効果が薄れる可能性もあります。
その他ダウンタイム中に血行がよくなることをすると、内出血や腫れが悪化する恐れがあります。飲酒や激しい運動・長時間の入浴・サウナなどは極力控えましょう。
- 副作用やリスクはありますか?
- ヒアルロン酸注入は簡便な施術でしわや凹みの改善ができますが、血管内への誤注入による皮膚の壊死のほか、失明や脳梗塞などの重篤な合併症も報告されています。
その他バイオフィルムや腫瘍形成も報告されており、重篤な合併症を回避するには正しい技術や知識を持った医師による施術が欠かせません。
特にヒアルロン酸注入を原因とする失明では、鼻や眉間・額などへの注入に集中しているため、注意が必要です。施術にあたっては経験豊富な医師へ相談するようにしましょう。
- ヒアルロン酸注入で失敗しないためにできることはありますか
- まずはご自身がヒアルロン酸の注入を強く望んでいる意思を確認しましょう。
どのような施術であれ、100%成功する方法はありません。施術が失敗した際のリスクも受け入れたうえで、それでもヒアルロン酸注入を受けたい場合に初めて、施術が受けられます。
また、ヒアルロン酸注入による効果は一時的なものです。一たび注入しても半年~2年後には元に戻るので、繰り返しの施術が必要です。施術費用が繰り返しかかることも考慮したうえで望むのかについても自分の意思を確認しましょう。
また、医師選びも慎重にしましょう。日本形成外科学会または日本美容外科学会認定の専門の医師を選ぶことが重要です。
ヒアルロン酸をこめかみに注入する際の注意点
- ヒアルロン酸をこめかみに注入する際の注意点を教えてください。
- ヒアルロン酸注入によってしわや凹みを目立たなくさせることができますが、上述したとおり100%成功する施術ではないため、失敗した際のリスクについても考慮しておきましょう。
また施術部位を正確に認識し、術後のイメージを医師と共有することが大切です。そのためにもきちんとした説明を行い、医師からの説明もきちんと受けるようにしましょう。
- こめかみへのヒアルロン酸注入は保険が適用されますか?
- 残念ながら保険適用外 となります。ヒアルロン酸注入に限らず、美容目的の施術は緊急性がないため、保険適用とならないケースがほとんどです。自由診療であり、何度も施術していく必要があるため、長期的に費用がかかる面については覚悟しておく必要があります。
しかしながらほかの施術と違って安価に受けられる施術ではあるので、自分の体と真摯に向き合い必要経費となるならば、費用を工面することにためらいはなくなるかもしれません。
- ヒアルロン酸注入以外のこめかみの凹みの治療法はありますか?
- 肌の再生医療によって凹みを改善できる場合もあります。再生医療により肌のハリを取り戻し、凹みを改善する治療方法であり、具体的にはコラーゲン・ヒアルロン酸・エラスチンを生み出す真皮線維芽細胞(肌細胞とも呼ばれます)を増やす方法です。
真皮線維芽細胞は20歳を超えると減少していき、50歳頃の時点で20歳時点の3分の1程度にまで減少してしまいます。真皮線維芽細胞を補充することで、肌の働きそのものを蘇らせることが可能と考えられています。
ただし、肌の再生医療はあくまで自身の持っている細胞を移植して増やす治療方法であり、治療効果が現れるまでに時間がかかる場合が多いです。早い人でも1ヵ月、人によっては半年程度かかることもあります。
コラーゲン・エラスチンはヒアルロン酸と同様、体内にもともと存在しているものなので安全性も高いといえるでしょう。しかしながら、移植した真皮線維芽細胞もいずれは老化してしまうので、移植によるハリの効果は2~3年程度といわれています。
また、再生医療・ヒアルロン酸注入どちらにおいても、基本的に しっかりとした治療経験のある医師による施術 が望ましいといえるでしょう。
そのためにも日本形成外科学会や日本美容外科学会にて認定を受けた専門の医師を探し、施術を受けることをおすすめします。
編集部まとめ
国内では安価に受けられる美容整形が蔓延しており、しっかりとした効果の期待できる施術とそうでない施術とでわかれています。
ヒアルロン酸注入にリスクはまったくないわけではないので、リスクが許容できて初めて、施術できるといえるでしょう。
ご自身が本当に施術したいのか、また施術によってどのような顔にしたいのかなどを熟考のうえ、結論を出すことをおすすめします。
参考文献