ふと鏡を見たときに目元のクマやたるみがあると疲れて見えたり、顔色が悪く見えたりして、気になってしまうことがあります。
顔が暗く見えると、話しかけにくい雰囲気が出てしまうこともあり、人間関係でも損をしてしまうことになるのです。
さらに年齢よりも上に見られてしまうことがあると、どうにかする方法ないのだろうかと対処法を知りたいと考えるようになります。
そのようなときに美容医療にたどり着くと、ベビーコラーゲンやヒアルロン酸注射などの選択肢があるということがわかります。
この記事ではベビーコラーゲンとはどのようなもので、目元のクマ・たるみに効果があるのかということを、ヒアルロン酸注射との比較を含めて解説します。
目元のクマ・たるみに効果的なベビーコラーゲンとは?
ベビーコラーゲンとは、ヒト由来のコラーゲンであるI型コラーゲンとIII型コラーゲンを50:50で同量混合したコラーゲン注射のことです。
コラーゲンには現在見つかっている型だけでも19種類あり、複数の型があるのですが、皮膚を構成するコラーゲンは主にI型とIII型です。
I型コラーゲンには、肌のハリや弾力性を保つ働きがあります。一般的にコラーゲンといわれるものはI型のことです。I型のサポートをする役割を持つのがIII型コラーゲンで細かいしわの改善効果・水分保持力を高めます。
コラーゲンは体を構成するタンパク質の1つで、体内のすべてのたんぱく質の1/3を占めているものです。コラーゲンは加齢とともに減少し、これによりしわの増加、肌の弾力、保水力の低下が起こります。
III型コラーゲンは再生能力を持つコラーゲンで、傷を治す初期の段階で増殖し、その後I型コラーゲンに置き換わることで治癒が進むのです。
III型コラーゲンは赤ちゃんの肌に多く含まれていて、加齢とともに減少します。I型とIII型が50:50で配合されたベビーコラーゲンの組成は、赤ちゃんの肌に近い組成です。
ベビーコラーゲンの施術可能部位
ベビーコラーゲンは、ポイント注射で顔や首などさまざまな部位のしわの改善を目的に使用することができます。
また、クマ・くぼみ・たるみは水光注射という機械を用いて、複数の極細針で薬剤を注入する方法で治療できます。この方法では肌の保湿を行うことも可能です。
このようにさまざまな部位に使用可能なベビーコラーゲンですが、ここではベビーコラーゲンを注入することができる部位について解説します。
上まぶたのくぼみ
まぶたは皮膚が薄い部分ですが、ベビーコラーゲンは皮膚の薄いところや浅いくぼみの施術も可能なので、上まぶたのくぼみが気になる場合でも施術を受けることができます。
デリケートな部分にも使用でき、施術直後から効果を感じることができる施術です。
口角のしわ
口角の細かいしわにもベビーコラーゲンは向いています。口周りも皮膚が薄いので、皮膚の浅い部分にも注入できて、よくなじむベビーコラーゲンの施術でしわが改善します。
目の下のしわ
目の下はまぶたと同じく、皮膚の薄い部分で細かいしわや凹凸が出やすい場所です。ベビーコラーゲンは細かいしわに効果が高いため、目の下のしわにも使用できます。
またベビーコラーゲンは乳白色であるため、目元のクマを目立たせる黒・青・茶の色を隠すことができるので、目の下のクマの改善にも効果的です。
首の横じわ
首の横じわは皮下脂肪の厚み・枕の高さ・普段の姿勢など生活習慣によって影響されてできることがあります。首の皮膚は薄いので、紫外線や乾燥によって肌にダメージが重なることで横じわが出てしまう場合もあり原因はさまざまです。
首のしわは若い人でも気になる場合がありますが、年を重ねてコラーゲンの量が減るとさらにしわが深くなります。いったんしわができてしまい、肌のハリや弾力が失われるとほかの部分よりもしわが目立ちやすい部位です。
ベビーコラーゲンは凹凸になりにくく、すぐに効果が出るため皮膚の薄い首の横じわの治療にも有用です。
顎のしわ
ベビーコラーゲンはさまざまな部分に使用可能なので、しわの状態によっては顎のしわにも使用することができます。深く刻まれた顎のしわへの施術はあまり向きませんが、梅干しのような顎のしわには使用されます。
細かいしわならベビーコラーゲンで対応できますが、割れているような深いしわの場合にはヒアルロン酸注射で形を整える治療の方が向いている場合もあるので、しわの種類によって医師に相談して治療法を決めましょう。
くちびるの縦じわ
ベビーコラーゲンは、ポイント注入でくちびるの縦じわにも使用することができます。しかし、くちびるのしわはヒアルロン酸注射の方が向いていて、くちびるをふっくらさせることでしわを改善します。
頬のくぼみ
頬のこけ・くぼみは加齢とともに気になるようになってくるもので、くぼみが深くなると貧相に見え、疲れているように思われてしまうことがあります。
頬がくぼんでしまうと、皮膚が余ってしまいたるみや法令線も気になるようになってきてしまうのです。
くぼみが浅いうちにはベビーコラーゲンで治療を行うことも可能ではありますが、深いしわであることが多いためヒアルロン酸注射の方が向いています。
ヒアルロン酸で頬をふっくらさせることでくぼみ・しわを改善して健康的で若々しい顔に導きます。
法令のしわ
ベビーコラーゲンは「ほうれい線」とも呼ばれる法令のしわにも効果があります。ヒアルロン酸と違いボコボコしにくく、肌をふっくらとさせることで、浅い法令のしわも改善が期待できます。
しかし、法令のしわは深くなりやすいので、粘度の低いベビーコラーゲンよりもヒアルロン酸注射の方が向いている場合もあります。どちらの施術が向くかは症状にもよるので医師に相談してみましょう。
ベビーコラーゲン施術の流れ
ベビーコラーゲンの施術の流れは、以下のとおりです。
- カウンセリング
- 洗顔
- 麻酔
- 注入
- 施術終了
以上のような流れで施術が行われるので、それぞれの段階について解説します。
カウンセリングでは、施術前に担当医による診察が行われます。希望の仕上がりを伝え、バランス・ベビーコラーゲンの注入量・細かい注入部位を検討していくためのものです。
この段階で仕上がり・施術後の注意・リスク・副作用などの説明があるので、わからないことや気になることを質問し、納得して施術を受けるようにします。内服している薬がある人はここで医師に伝えてください。
カウンセリングで施術を受けることを決めたら、洗顔をして施術を受ける部位の化粧を落とします。
次に希望によりクリーム状の表面麻酔を塗布して、30分程度待ち麻酔が効いてから施術をします。痛みを気にしない人は麻酔なしで施術を受けることも可能です。
麻酔が効いたら、ベビーコラーゲンを注入します。麻酔をしている場合にはほとんど痛みはありません。注入部位・範囲にもよりますが、5~10分程度で施術は完了します。
化粧は当日からすることができますが、なるべく針を刺した場所は避けて行うことが望ましいです。洗顔・シャワーは当日から可能ですが、長湯は避けてください。
施術部位への刺激を避ければ、日常通りの生活を行って問題はありません。
ベビーコラーゲンの副作用
ベビーコラーゲンを注入した際に起こる可能性がある副作用には、以下のものがあります。
- 赤み
- 腫れ
- むくみ
- 内出血
これらの症状はすぐに落ち着くことが多いですが、施術後1〜2週間程度、注入部に生じることがあるので注意が必要です。
ベビーコラーゲンはなじみがよくなっているとはいえ、コラーゲン製剤はなじみが悪いため白い隆起が出ることがありますが、1ヶ月程度で吸収され消失します。
さらにまれではありますが、アレルギー・感染・アナフィラキシーショックなどが起こることがあります。施術後は指定された時間は院内で経過を観察し、気になる症状があれば早めに受診することが大切です。
ベビーコラーゲンの費用相場
ベビーコラーゲン注射は自費診療であるため、施術する箇所や使用する量によって値段が異なり、1㏄あたり110,000円(税込)~198,000円(税込)程度です。
また、ヒアルロン酸注射も同じく自費診療で、値段は66,000円(税込)〜88,000円(税込)程度です。
費用については、クリニックごとに異なるため、施術を受けることを検討しているクリニックに確認してください。
ベビーコラーゲンとヒアルロン酸注射の比較
目元のクマ・たるみ・しわなどに使用されるベビーコラーゲンですが、同様の目的で使用される注入の施術にヒアルロン酸注射があります。
ヒアルロン酸は粘度が高く、ボリュームを出すことができるのでリフトアップや凹凸の解消に向いています。ベビーコラーゲンは粘度が低いため、形を作ることには不向きですがヒアルロン酸では難しい細かいしわにも使用することができるのです。
どちらもジェル状の注入剤で似ているのですが、性質は異なるので状態や求める仕上がりによる使い分けが必要です。
ここでは、ベビーコラーゲンとヒアルロン酸注射にはどのような違いがあるか、メリット・デメリットを含めて解説します。
メリット
ベビーコラーゲンはヒアルロン酸と比べるとやわらかく、肌になじみやすいため皮膚の薄い目元・口元の施術に適しています。用量を調節して、皮膚の薄いところに注入できるので、細かいしわの改善も可能です。
ヒアルロン酸を皮膚の薄い部分に浅く注入すると、チンダル現象が起こり青く浮き出て見えてしまうことがありますが、ベビーコラーゲンではこのようなことが起こりません。
III型コラーゲンを多く含み、組織を再生する能力もあるので、アトピーやケガなどによる傷跡にも効果を発揮する場合があります。
術後の痛みや傷はほとんどなく、施術当日から化粧をすることができる治療です。入院の必要もないため、忙しい人でも気軽に施術を受けることができます。
またベビーコラーゲンはヒト由来のコラーゲンで、さらに抗原性を処理したコラーゲンであるため、アレルギーが起こることがほとんどなく安全性が高いです。
年を重ねることで減っていくコラーゲンを補充して、症状を改善する方法であるので自然に肌を若々しく導くことができます。
デメリット
ベビーコラーゲンは、粘度が低く皮膚を持ち上げる力が弱いため、深いしわ・くぼみ・たるみ・即効性のあるボリュームアップは難しいです。
またヒアルロン酸は気に入らなかったときに溶解することで元に戻すことができますが、ベビーコラーゲンには溶解液がないため、吸収されることを待つしかありません。
効果持続期間
Ⅲ型コラーゲンには脂肪細胞を新しく作り出したり、増殖させたりする効果があるため、ボリュームを高めて肌をふっくらさせる効果があります。
ベビーコラーゲンの注入によって、組織が再構築されると脂肪細胞も増えていくので繰り返し施術を受けるほど、効果の持続期間は長くなっていくのです。
個人差はありますが、初回は3ヶ月〜半年の持続期間だった人が繰り返し施術を受けることによって1年半程度まで持続するようになります。
定着するまでは約1ヶ月かかり、初回の施術の場合は3ヶ月以内に再度施術を受けることで効果が持続しやすくなり、肌の状態を改善する効果も高めることが可能です。
その後の施術頻度の目安としては、年に1度のメンテナンスとしてベビーコラーゲンを受けることが推奨されています。効果が長持ちするようになるとともに肌の老化のスピードが緩やかになり若々しい肌を保つことができるためです。
施術が向いている人
ベビーコラーゲンの施術が向いている人は以下のような人です。
- 顔・首の肌のハリや小ジワが気になっている人
- 目の下のクマが気になる人
- 目元・口元のしわが気になる人
- デコルテの小じわが気になる人
- 手の甲のしわが気になる人
このように、ベビーコラーゲンは細かいしわやクマが気になる人に向いています。
施術時間
ベビーコラーゲンの施術にかかる時間は、注入時間としては5〜10分程度です。麻酔を使う場合には、麻酔クリームを塗って効果が出るまで30分程度は待ちますが、1時間程度で施術まで終了します。
入院の必要もなく、その日からシャワーや化粧も可能で施術部位を押さないこと以外には特に施術後の注意点もありません。
まとめ
ベビーコラーゲンは細かいしわの治療を得意とする注入療法で、I型とIII型のコラーゲンを等量含むヒト由来のコラーゲン注射です。
ヒアルロン酸注射では難しかった皮膚の薄い部分や細かいしわの治療ができるので、症状に合わせてヒアルロン酸と使い分けることで治療の幅が広がります。
目元のクマ・たるみをはじめとする顔のさまざまな症状に効果があり、ダウンタイムも短く気軽に受けられるので、美容治療が初めての人でも挑戦しやすい治療です。
この記事では、ベビーコラーゲンの施術とはどのようなものかということを中心に費用・副作用・施術の流れ・ヒアルロン酸注射との比較などについて解説しました。
目元のお悩みがあり、美容施術を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
参考文献