「パートナーとの性行為を自分にとっての初体験にしたい」「処女である状態に戻りたい」といったさまざまな思いをサポートする処女膜再生手術。
悩みがあったり手術に関心があったりしても、相談できる人が周囲になかなか見つからないケースは少なくありません。
また、インターネットには性行為に関する知識や女性器の成形(婦人科形成医療)に関する知識など、多くの情報が存在します。
そのなかから自分に合った適切な情報を見つけるのは難しいものです。1人で悩みを抱えたままになっている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では処女膜再生術についての基本となる知識を紹介します。手術にはどんな種類があるのか、向いている方や手術の実際、注意すべき点などを解説していきます。
処女膜再生手術とは?
まず、処女膜とはどんな器官なのか、また処女膜再生手術とはどのような手術なのかを紹介します。
処女膜はなぜ破れる?
現在、私たちが使っている「処女膜」という名前は、オランダ語からの翻訳として1830年代から日本で使用されてきました。
腟の入り口を取り囲むようにあるひだを指します。入り口周囲の一部のみに存在していたりぐるりと付いていたり、形状は人によりさまざまです。
また、厚みや硬さなども、顔つきや手のかたちが人により異なるように一人ひとり異なります。
長い歴史の中で使用されてきたその名称から誤解されることも多いのですが、医学的には、「性交渉をしたことがないから処女膜がある」というわけではありません。
また膜という言葉から連想される、膣口を完全に塞ぐような「破れていない」形状の処女膜はほとんどなく、多くはもともとどこかが開口しています。
おりものや月経の際の経血は通常、その開口部から排出されます。
「破れていなかった」処女膜が性行為により「破れた」というイメージがもたれることもありますが、これも正確ではありません。
確かに、性交渉を行うとき処女膜が傷ついたり負荷がかかることで痛みや出血が起こることはあります。初めての性行為の際に出血したひとは8割弱という調査結果もあります。
処女膜再生手術はどのような手術か
処女膜再生手術は、処女膜「形成」または「再建」術ともいわれます。女性器の形を整える婦人科形成医療の一種で、保険適用外の自費診療です。
費用の相場は10万~30万円(税込)ほどだそうです。参考にしてみてください。
一般形成外科ではほとんど扱いがなく、多くは美容形成外科で行われます。
日本美容外科学会によれば処女膜再生手術は珍しい手術ではなく、多くは簡単な切除と縫合でできるとされています。
現在ある処女膜を寄せて縫合したり、処女膜があまりみられない場合は膣の周囲の粘膜を切除したり縫合したりして、膣の開口部を小さく形成していく手術です。
処女膜再生手術の種類
処女膜再生手術を大きく2つの種類に分け、大まかな方法や特徴を紹介します。こうした方法や特徴は状況によってメリットにもデメリットにもなります。
実際に手術を検討する際には医師に自身の状況や思いを伝えながら、よく相談して決めていきましょう。
糸で止めるプチ手術
糸で止めるプチ手術は、ほとんど目につかないような細くほぼ透明の糸で、現在ある処女膜のひだを寄せるようにして縫合していく手術です。
この糸は自然に溶けてぼろぼろになり体内に吸収される、「吸収糸」と呼ばれます。抜糸しなくてよいのが特徴で、そのため手術は1回で終わります。
かかる時間も数十分程度で、当日帰宅できることがほとんどです。
またもうひとつの特徴として、この手術の「効果」は吸収糸が処女膜を縫合している間の数週間に限られることが挙げられます。
体内に糸が吸収されると縫合がほどけるので、手術後に痛みや出血を伴う性行為の体験を希望する場合は、手術後1〜2週間を目安に行為を行うことが推奨されています。
レーザーで修復する再生手術
レーザーで修復する再生手術は、現在ある処女膜のひだを縫合するだけで膣の入り口を狭くするような形成を行っていくのが難しい場合などに実施されることがある手術です。
処女膜の粘膜はそのままでは癒着しないため、まず断裂している粘膜にレーザーを照射して癒着しやすい状態にします。
この際、場合により膣の周囲を切開したり処女膜の厚みなどを調整することもあるでしょう。その後、断裂していた部分を吸収糸で縫合して再建していきます。
縫合部分の癒着を待つので、ひだを寄せ集めて吸収糸で止めるだけの方式より回復に時間がかかる手術です。
吸収糸が体内に吸収された後も、術後最初の性交渉で痛みを感じたり出血する可能性は高いままとなります。
切開や縫合による処女膜の根本的な形成術ともいえるため、「リセットしたい」という思いが強い場合や現在ある処女膜が非常に少ない場合などにも検討されます。
処女膜再生手術はこのような人におすすめ
処女膜再生手術を実際に受けた方の、受けた理由や思いをもとに紹介していきます。
パートナーに処女だと思われたい
愛する彼にとって「初めての女性」でありたいという気持ちから、処女膜再生手術を希望される方がいらっしゃいます。
また、性行為をはじめとするお付き合いに処女性を求めるパートナーの思いを汲んで手術を受けられるケースもあります。
初体験のドキドキ感を再現したい
処女膜再生術を受けると、術後の性交で痛みや出血が生じる可能性があります。
こうした痛みや出血も含めて初体験の感動をもう一度味わいたい、パートナーとの「初体験」のドキドキする気持ちをもう一度体験したいという希望で手術を受ける方もいらっしゃいます。
望まない性交渉で失った処女膜を再生したい
人生で一度しかない初めての性行為という体験が、望まない相手や状況のもと行われたため、苦痛に満ちた思い出や痛みを抱えて過ごされているケースがあります。
スポーツ・刺激などで失った処女膜を取り戻したい
処女膜はデリケートで個別性の高い器官であるため、乗馬などのスポーツやオートバイの乗車などの刺激で裂傷を負うことがあります。
こうした負荷のため破れた処女膜を、大切なパートナーとの初めての性行為の前に修復したいという悩みを持つ方にとっても、処女膜再生術は有効な手段です。
処女膜再生手術の流れ
手術の実際を、準備と施術・アフターケアに分けて紹介します。手術を受ける日程の決め方や麻酔の種類、術前・術後に注意することなどを確認できます。
準備
手術を受けるか検討していくにあたって、まず、自身の処女膜の状態を知りましょう。
医療機関でしっかり検査を受けて現在の状態を把握してから手術を受けることで、どのような状態になるのか、どのような状態になっていくのが自身にとって好ましいのかを医師とよく相談していくことが大切です。
例えば施術にあたっては剃毛が必要なケースがあるため、術後に性交渉を予定している方は、そのことを事前に了承する必要があります。
また、施術の日程は通常、生理期間を避けて組まれていきます。
手術の種類や費用などと合わせ、このように時間軸に沿って、どの段階で自身の身体がどのような状態になっているか具体的にイメージできると心の準備も同時に整っていくでしょう。
施術
手術当日の過ごし方については事前に医師と確認しましょう。
例えば麻酔をかけることになるため、手術当日に食事をとってもよいかどうか、よい場合は避けるべき食品などがあるかを確認しておくとよいかもしれません。
服装は着脱しやすく楽なものを選び、万が一の出血に備え、色は濃いめにするとよいでしょう。念のためナプキンと着替えの下着などを持参すると安心です。
病院に向かうときは手術後に帰宅することを考慮し、自身で車を運転したり自転車での移動は避けましょう。
麻酔は局所麻酔を選択するケースが多いですが、静脈麻酔で手術中の記憶をほとんど残さずに過ごす施術を行う医療機関もあります。
麻酔でほとんどの痛みは抑えられますが、不安が大きかったり痛みが心配な方は事前に相談するようにしましょう。
伝えるのが施術間際になると、できる対応が限られるときがあります。手術にかかる時間は種類によって異なりますが、多くの場合は1時間未満で終了します。
アフターケア
ほとんどの場合手術当日に帰宅できます。局所麻酔が効いているのでその日は安静を心掛けます。シャワー・入浴は当日または翌日以降から順次許可されることが多いでしょう。
一方で、腫れや痛みが出たり、数日間は出血がある可能性があります。手術後の数日間の過ごし方について、こうした事象が起きたときの対応と併せ、前もって医師に確認できるとよいでしょう。
例えば術後の痛みが心配な方は、痛み止め・痛みを緩和する薬の服用や、効果が長持ちする麻酔などを相談できるときもあります。
術後数日で定期検診が行われることが多いので、その有無やタイミング・費用も事前に確認しておきましょう。
処女膜再生手術後の注意点
手術を受ける目的によっても注意すべき点は異なってきます。
時間と費用をかけたことを後悔しないためにも、手術を受ける検討段階から下記のような注意事項を把握しておきましょう。
性交渉は早めに行う
処女膜再生手術を受ける方の目的はさまざまで、そのひとつにパートナーと「初めての体験として性交渉を行うこと」があります。
このような場合で出血や痛みを伴う行為をその方が希望されるなら、処女膜再生手術後、手術によって膣の入り口が狭められ手術糸がほどけて消失してしまう前に性交渉を行う必要があります。
タイミングの目安としては術後1~2週間とされることが多く、術後の回復の様子と合わせて医師に確認しましょう。また出血や痛みは個人差があります。
処女膜再生手術を行ったからといって、必ずしもその後の初めての性交渉の際に痛みが出たり出血するとは限りません。逆にご本人が想像していたより多く出血する場合などもあります。
清潔を保つ
処女膜再生手術は、身体への負荷は軽いといわれています。ただ、体に傷をつける「侵襲的」な医療であることに変わりはありません。
術後は免疫が低下している状態です。手術部位からの感染リスクにまず気をつけましょう。シャワーや入浴は、多くの場合、手術翌日以降から順次許可されます。
許可が下りるまでの手術部位の清潔な状態の保ち方や、シャワー・入浴の際の洗浄方法などを医師に確認するとよいでしょう。
また、出血などに備えてナプキンを使用する際は、こまめな交換が清潔な状態を保つことにつながります。
施術部位に負担がかかる行為はしばらく控える
行為自体が身体への負担となる飲酒や運動などは、術後控えることで回復がスムーズになります。
これらは血流の増加を促進する活動でもあるので、腫れや出血を抑える効果もあります。
自転車やバイクなど施術部位に負担が大きい活動は特に控える意識を持ち、水泳など個別のスポーツ・マッサージ・温泉・タンポンやウォシュレットの使用など気になる活動については再開の目安を医師に確認しましょう。
処女膜再生手術のリスク・副作用
処女膜再生手術の術後は、まず上述のように腫れや痛み、出血に注意しましょう。腫れや痛みの多くはそれほど深刻なものではなく、一般的には数日で収まります。
術後2〜3日は出血に備えてナプキンを使用してもよいでしょう。このほか副作用や術後の症状として、だるさや熱っぽい感じ、むくみなどがみられることもあります。
こうしたリスクに対する対策としては、前もって医師に、例えば術後に具合が悪くなるようなことがあった場合「どんな症状がどの程度」出ると受診を検討するほうがよいか確認しておくと安心です。
まとめ
ここまで本記事で見てきたように処女膜はもとから開口していることが多く、「初めての性交渉によって穴が開く」といったイメージは誤解であることが分かりました。
性交渉の際に損傷するときもしないときもあります。一方で性行為以外で損傷することもありますし、損傷した際に痛みや出血がない場合もあります。
つまり処女膜の形状や損傷しているかどうか、痛み・出血の有無は、性交経験の有無とイコールではありません。まして本人である女性の価値と性交経験の有無は無関係です。
一方で、処女膜再生手術は、身体だけでなく心の修復につながる手術という見方もできます。
パートナーや友人・家族といった周囲にこそ相談しづらい悩みを相談できるのが専門機関です。迷ったり悩みを1人で抱えている状態であれば、医療機関に問い合わせるのもよいでしょう。
この記事が読者の皆さまにとって、悩みに役立つ知識となったり誰かへの相談に向けた助けとなれば幸いです。
参考文献