近年、美容皮膚科や皮膚科ではHIFU(ハイフ)と呼ばれる機器を用いるリフトアップ施術が行われています。加齢に伴う皮膚のたるみを改善し、フェイスラインを引き締め、小顔効果がある施術です。30~50代と幅広い年齢層に人気があり、皮膚を切らずに手軽に行えます。
そのようなハイフですが実は膣内にも使用することもできます。聞き慣れない人も多いですが、それを膣ハイフと呼んでいます。
ハイフを膣専用にした機器で加齢に伴う膣の不快感や、膣トラブルを改善する目的が期待できるでしょう。
また、膣ハイフはメスを使わない施術なので、副作用やダウンタイムが短いです。仕事が忙しい場合でも1日だけで終わる施術なので、気軽に通うことができます。
本記事では膣ハイフの仕組みや、膣タイトニングの効果・副作用・施術できない人について解説していきます。
膣HIFU(膣ハイフ)とは?
膣HIFU(ハイフ)はHIFU(ハイフ)技術を膣に使用できるように縮小した機器で、膣専用のハイフです。高密度焦点式超音波をハイフと呼び、美容皮膚科や皮膚科でメスを使わないリフトアップ施術として行われます。
膣ハイフは、従来メスを用いて外科的処置を行っていた膣の緩みによる問題を、メスを使わずに短時間で行えるようになりました。
主に加齢に伴う膣の緩みや尿漏れの施術として用いられ、萎縮性膣炎や内臓下垂による子宮脱・膀胱脱を予防する効果も期待できます。ただし重度の症状がある場合には、膣ハイフによる治療は期待できません。
もし重度の症状がある場合には婦人科や泌尿器科を受診してください。子宮脱・膀胱脱は膣ハイフで治療することはできないので、異常がある場合には一度婦人科で健診を受けてからカウンセリングを受けるとよいでしょう。
また、膣ハイフはハンドピースを膣に挿入することで、周りの皮膚や粘膜を傷つけずにできる施術です。膣内に挿入し粘膜に直接超音波を当てることで熱を発生させ、膣周りの組織内の繊維細胞を活性化させます。
活性化した繊維細胞の働きにより、コラーゲンやコラーゲンの繊維を支えるエラスチン繊維が増え膣内にハリが戻る仕組みです。
身体を傷つけていないため施術をした日からシャワーを浴びれます。私生活に支障はほとんどありませんが、1週間程度は公共の入浴施設やサウナへ行くことは控えましょう。
照射後約1年程度効果が継続し、約3週間~1年程度で効果が現れ始めます。活性化した繊維細胞の働きにより生み出されたコラーゲンは半年程度増え続け、時間をかけて膣に弾力が戻り厚みが出ることでハリのある膣に改善されるでしょう。
ほとんどの人は1度の照射で効果を感じられます。ただし効果の感じ方は人によるので、必ずしも強い効果を感じられるわけではありません。
膣のタイトニングの効果
膣タイトニングをすることで以下の効果が感じられます。
- 加齢による膣の緩み改善
- 出産にやる膣の緩みの改善
- 尿漏れの改善
- 萎縮性膣炎の改善
更年期障害は多くの人に知られている症状です。更年期障害は女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンが減少することで起こる現象です。
エストロゲンは20代後半から減少を始め、その影響は膣にも及びます。さらに膣内環境が悪化し膣の緩み・萎縮性膣炎等に繋がります。
また、膣内環境が悪化することにより膣内の常在菌が減少し、膣カンジダを頻発する人も少なくありません。
膣タイトニングをすることで膣内環境が改善され、上記の症状が改善し前述した効果を感じられるでしょう。では、膣タイトニングではどのような効果が現れるのかを解説します。
加齢による膣の緩み改善
加齢による膣の緩みが改善されます。人は加齢と共に筋力が低下する傾向にあり、例外なく、膣も加齢により筋力が低下していきます。
膣の筋力が低下すると膣が緩み、膣に空気が入る・風呂上がりに膣に入った水が漏れるといった悩みに繋がることも少なくありません。
ただし、膣タイトニングによる治療のみで膣の緩みが完全に改善されるわけではありません。骨盤底筋の筋力が低下していることが影響している場合には、ある程度の筋肉トレーニングも必要です。
出産による膣の緩みの改善
出産による膣の緩みを改善できます。女性は妊娠するとホルモンの影響を受け、骨盤底筋が緩みます。また、出産時に膣壁が大きく広がったり裂傷したりすることにより、膣が緩む場合が多いです。人によっては筋力の低下・膣が傷つく・子宮脱・膀胱脱が起こることもあります。
尿漏れの改善
尿漏れを改善できます。膣が緩むと尿漏れが起こる原因になります。骨盤底筋の筋力低下によるもので、特に座ったり立ち上がったりするときに起こりやすい症状です。
また、尿漏れだけでなく頻尿になる可能性も高く、私生活に影響が出ることも珍しくありません。
ただし膣タイトニングにより改善した尿漏れは、膣タイトニングの効果が薄れるとぶり返す可能性が高いです。根本的に尿漏れを改善するためには、医療機関での治療や骨盤底筋を鍛える必要があります。
萎縮性膣炎の予防
萎縮性膣炎を予防できます。萎縮性膣炎はエストロゲンの減少により膣内環境が変わり、膣が乾くことで膣壁がただれる疾患です。萎縮性膣炎になると性交痛・おりものが黄色くなる・膀胱炎・膣からの出血が起こりやすくなります。
萎縮性膣炎に伴う膣カンジダや膀胱炎は私生活に悪影響を与えます。症状が出てきてしまうと治るまで施術が受けられないため、違和感を感じたら早めのカウンセリングを受けるとよいでしょう。
膣HIFU(膣ハイフ)はどのような人におすすめ?
膣ハイフは施術後の副作用が少なくダウンタイムが少ないため、仕事が忙しく時間が取れない人も通いやすいです。また、以下の人にも膣ハイフがおすすめです。
- 尿漏れに悩んでいる人
- 性交痛に悩んでいる人
- 入浴中膣にお湯が入ってしまう人
では、膣ハイフがおすすめな理由について説明していきます。
尿漏れに悩んでいる人
膣ハイフは超音波を用いて行われ、施術後ゆっくりと時間をかけてコラーゲンを増殖しそれに伴い膣壁に厚みが生まれます。膣壁に厚みを持たせて引き締めるため、膣の緩みが改善し、子宮脱・膀胱脱などを抑制します。
また、外肛門括約筋に直接刺激を与えることで直腸・肛門・膣だけでなく、尿道の引き締めにも効果が期待できるため尿漏れがしにくくなるでしょう。
性交痛に悩んでいる人
性交痛は膣萎縮により膣分泌液が減少し、膣が乾くことで起こります。膣ハイフをすることでコラーゲンが生み出され増殖していくことにより、膣に潤いをもたらします。
入浴中膣にお湯が入ってしまう人
入浴中にお湯が入ってしまう原因は膣の緩みです。膣の緩みが改善されることで、入浴中にお湯が入ってしまう現象を防げるでしょう。
膣ハイフにより膣が引き締まる・膣周辺筋肉の影響により内臓の位置が上がることで、お湯が膣へ入ることがなくなります。
膣HIFU(膣ハイフ)には副作用はある?
膣ハイフは身体に傷をつけないため、施術後に私生活に支障がありません。ただし、公共施設での入浴やサウナ・自転車、バイクの運転は施術後1週間は控えましょう。また、施術後3日の性交渉やタンポンの使用は好ましくありません。
膣ハイフはメスを使用しないため施術後に患部に強い痛みや腫れ、感染症を引き起こすリスクが低いです。ダウンタイムもほぼありません。
しかし副作用が全くないわけではありません。例えば膣ハイフの副作用は以下のような症状があります。
- 膣の違和感・感覚の変化
- 膣がヒリヒリする
- 分泌物の増加
- 軽い腫れ
- しびれ
膣ハイフで現れるリスクは上記の通りで、多少の腫れや膣の違和感が現れる可能性があります。しかしどの症状も一時的な症状であり、持続的な副作用や重大な後遺症は今のところ報告されていません。
膣HIFU(膣ハイフ)の施術ができない人は?
膣ハイフの施術を受けたい場合には、婦人科で健診を受けてから行うことをおすすめします。膣内に傷がある場合や特定の疾患がある場合には施術できないため、違和感がある場合には婦人科で相談してからカウンセリングを受けましょう。
膣ハイフの施術を受けられない人は以下の通りです。
- 生理中の人
- 妊娠中の人
- 産後の人
- 至急関連の病気がある人
- 膣内に出血や傷などがある人
- 子宮内避妊器具などを埋め込んでいる人
膣ハイフは超音波で熱を発生させる治療のため、身体の調子が万全な時の施術が望ましいです。少しでも体調不良がある場合には、別日での施術をおすすめします。
また、膣はデリケートな部位なので傷ついているときや、異常がある場合には施術をするのはやめましょう。
生理中の人
生理中は衛生的な面で施術を行うのが好ましくありません。また、生理中は肌トラブルや感染症を引き起こしやすいため、医療機関からも生理中の施術は行わないように説明があるでしょう。施術日に生理が来てしまった場合は、日を改めて施術を行います。
妊娠中の人
膣ハイフは外科手術をすることなく膣のゆるみを改善することができます。
しかし、膣壁に対して超音波エネルギーによる熱を加えるため、妊娠中の方は施術を受けることができません。
膣ハイフ治療を希望する場合は、産後半年〜1年経過してから施術を受けるようにしましょう。
産後の人
出産したばかりの方は、膣や子宮が正常な状態に戻りきっていません。そのため、産後すぐに膣ハイフ施術を受けることはできません。 産後半年~1年経過で施術を受けられるようになります。
子宮関連の病気がある人
膣ハイフは超音波エネルギーを膣壁に照射する施術であるため、子宮関連の病気がある人は施術を受けることができません。
膣ハイフの施術を受ける前に、産婦人科を受診して子宮に異常がないか検査を受けておくと安心です。
膣内に出血や傷などがある人
膣内出血や傷などがある人は施術を受けることができません。膣HIFUは膣内に熱を発生させるため、傷や出血がある場合には完治してからの施術をおすすめします。
子宮内避妊器具などを埋め込んでいる人
子宮内避妊器具などを埋め込んでいる人は施術を受けることができません。膣HIFUを受けたい場合には、一度子宮内品具を外してから施術を行うことをおすすめします。
膣HIFU(膣ハイフ)の費用相場
膣ハイフは健康保険が適用されない全額自費診療です。医療機関が独自に価格を設定して患者さんに提供することができるため、一般的な医療期間での施術相場は5~20万円(税込)とかなり幅があります。
初回は5万円(税込)前後、2回目以降の施術が15万円(税込)といった医療機関が多いです。
また数回施術を利用したり施術部位を増やしたりすることで費用が抑えられるなど、医療機関により費用に大きな差があります。なお、膣ハイフの効果は3週間〜1年程度で現れるのが一般的です。
通常1回の施術で効果が期待できますが、効果の現れ方には個人差があるため、症状によっては3ヶ月から半年後に再度施術を受けると良いでしょう。
まとめ
加齢による更年期障害や出産による体調不良はよく聞かれますが、膣の緩みについては人に話しにくく放置しがちです。本記事を読み、心あたりのあった方も多いのではないでしょうか。
そのような人は一度医療機関へ相談することをおすすめします。膣の緩みによる尿漏れや加齢による膣の不快感・膀胱炎・膣カンジダは、放置していると悪化する可能性が高いです。
悪化すると子宮脱や膀胱脱になり、最悪の場合手術をしないと治らない可能性もあります。膣ハイフならば短時間で手軽に施術が終わり、メスを入れないため施術後の痛みも少ないです。
膣ハイフを受けることで膣に関する悩みが改善され、私生活に潤いをもたらします。現在、膣に関する悩みを抱えている人は、一度医療機関で膣ハイフを検討してみてはいかがでしょう。
参考文献